被災経験から学ぶ 2020年熊本水害に見舞われて…

店は品切れ、ボランティアも不足

そこから数日間、わが家を拠点に親族全員で片付け作業を行いました。特に妻の両親の家は屋内まで泥が入っている状態で、畳から冷蔵庫からすべて倒れるなどめちゃくちゃ。少しずつ泥をかき出しながらの作業となりました。

 

電気やガス、水道などのインフラは復旧しましたが、それを使う器具が壊れていました。泥を洗うには水が不可欠ですが、水道は出る時と出ない時がありました。

そして復旧作業をしたくても、長靴がないとヘドロやがれきで歩けない。道具を買いにホームセンターに行きましたが、店は品切れが続出。1週間ほどは道路もまともに使えない状況でしたから、流通も止まってしまっていて食べ物を手に入れるのにも苦労しました。

またコロナウイルスの影響で県外からのボランティアは制限されてしまい、人手も全く足りませんでした。4年前の熊本地震の時にはたくさんのボランティアに来ていただきましたが、今回はとても少なくて。その分復旧に時間がかかっているように思います。水害から4か月以上たった今でも、まだ復旧・復興していない地域もあるようです。

 

【専門家】ライフラインが復旧するまでには1週間~1か月かかる場合もあります。1週間分の水・食料を普段から準備しておきましょう。期限があるものについては、日常生活で消費しながら新しい飲料・食料を買い回すローリングストックで備えましょう。コロナ禍でのボランティア活動については、自治体や国によるサポート体制の整備が待たれます。災害時は住民の団結が重要なので、いざというときに助け合えるよう日ごろから近所付き合いを大切にすることも心がけましょう。

数日間、電波が届かず音信普通になって不安だった

もうひとつ困ったのは、3~4日ほど固定電話もスマートフォンもつながらなかったことです。東京に住む娘と連絡がとれず、電波がつながる隣町まで移動して「今なら電話できるよ」と伝えてから限られた時間で話していました。ただでさえ心細いなか、お互いに不安でした。

災害時にはインターネットで「災害用伝言板(web171)」(https://www.web171.jp/)などのサービスも使えるそうですが、ネットにも詳しくないため存在を知りませんでした。今後はそういうものも知っておいた方がいいですね。

 

【専門家】公衆電話を含め、電話が使えるなら「災害用伝言ダイヤル171」(https://www.ntt.co.jp/saitai/171.html)を利用するとよいでしょう。電話がつながらない場合、災害時でも比較的つながりやすいパケット通信を利用した災害用伝言サービスやメールを利用しましょう(https://www.bosai.yomiuri.co.jp/article/817)。

災害時の連絡手段について事前に家族と話し合っておくことも大切です。

自宅に親族が集まったことで、思いがけない苦労もありました。

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