小麦 卵 乳…食物アレルギーの災害対応とレシピ

食物アレルギーがある場合、災害時には、普段以上に食事で苦労することと思います。メニューのマンネリ化によるストレスや栄養バランスの偏りも懸念されますね。この記事では、そうした場合の食べもの選びのポイントと、小麦・卵・乳不使用の防災レシピをいくつか紹介します。

アレルギー表示の見方・注意点と調理のポイント

食物アレルギーとは

「食物アレルギー」とは、特定の食材を食べた際、食材に含まれるアレルゲンに過剰に反応を起こすことを指します。

かゆみやじんましんなどの症状でとどまることもあれば、重篤な場合は、意識障害や血圧低下などのアナフィラキシーショックを起こし、命にかかわります。食物アレルギーを持つ方は年々増加傾向にあり、子どもの発症が多いことが特徴です。

アレルギー食品と表示の見方・注意点

アレルギー物質を含む食品は「特定原材料等」として指定されていて、容器包装された加工食品には表示が義務づけられています。特定原材料等は現在28品目あり、表示が義務化されている品目と、表示が推奨されている品目とがあります。それらは以下の通りです。

 

【表示義務・7品目】

エビ・カニ・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナツ)

 

【表示を推奨・21品目】

アーモンド・アワビ・イカ・イクラ・オレンジ・カシューナッツ・キウイフルーツ・牛肉・クルミ・ごま・サケ・サバ・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・マツタケ・モモ・山芋・リンゴ・ゼラチン

 

これらの食品を含む加工食品のパッケージには、個別表示します。原材料として使用していない場合でも同じ製造ラインで特定原材料等を使用して混入する可能性がある場合には「注意喚起表示」があります。

類似商品でもメーカーによって表示される食材は異なりますので、食物アレルギーが気になる場合、よく確認しましょう。

自炊と調理のポイント

災害時は情報や食品が手に入りにくいため、食物アレルギーがある場合は食べるものに一層気を使いますね。自炊をする際のポイントについて解説します。

加工食品は必ず原材料を確認

加工食品はアレルギー表示とともに、原材料表示もしっかりと確認しましょう。思いがけないものに特定原材料等が使用されている場合があるためです。「棒々鶏(バンバンジー)のドレッシングにピーナツが使用されていた」といったケースです。

安全に食べられる量を把握し、混入に注意

食物アレルギーは、人によって程度も症状も様々です。担当医に、コンタミネーション(微量の混入)は問題ないか、調理器具の共有は問題ないかなどを事前に確認しておきましょう。災害時にはごく限られた食材や調理器具しかありません。それらが食べることができるかどうかを判断する重要な情報になります。

 

食物アレルギーがあると、食べものの配布があっても食べられるものがないこともありえます。そんなときに備えて、「小麦・卵・乳アレルギー」に対応したレシピを4つ紹介します。主食系の非常食を活用し、衛生面にも配慮したものです。

主食系の非常食を活用したアレルギー対応レシピ4つ

ポリ袋を使って調理する際は、耐熱性の「高密度ポリエチレン(HDPE)」製のものを使用しましょう。

まず、基本のご飯の炊き方です。

【ポリ袋で炊く基本のご飯】

材料(1人分):

生米 1/2合(75g)

水 1/2カップ(100cc)

 

作り方:

(1)ポリ袋に生米を入れる。そこに少量の水(分量外)を入れ、もみ洗いしたら、水を捨てる。

(2)分量の水(1/2カップ)を入れ、30分ほど浸水させる。

(3)袋の中の空気を抜いて、口を縛る。お湯の沸いた鍋の中に入れて、弱火で20分間加熱する。

(4)火を止め、そのまま10分蒸らして完成させる。

 

ポイント:

基本のご飯の炊き方はぜひ押さえておきましょう。ポリ袋で炊くと、そのまま器によそって食べることができますから、洗う手間や水の節約になります。たくさん炊くときも、1人分ずつ小分けにして調理するのがお勧めです。

加熱する際は、ポリ袋が鍋底に直接当たらないよう、鍋底に耐熱皿を敷いておきましょう。

【小麦・乳・卵不使用:トマトカレーライス】

材料(1人分):

ご飯 1人分

ジャガイモ 1/2個

ニンジン 1/4本

タマネギ 1/4個

★トマト缶(ホールではなくカットされたもの) 100g

★カレー粉 小さじ1

★ウスターソース 大さじ1(※)

塩・コショウ 少々

※ウスターソースは、メーカーによって小麦が含まれている場合があるため、注意してください。

 

作り方:

(1)ジャガイモ、ニンジン、タマネギを細かくサイコロ状に切る。

(2)ポリ袋に(1)と★の材料を入れ、軽くもんで混ぜ合わせる。

(3)沸騰したお湯に入れ、30分弱火で加熱する(このとき、同じ鍋で一緒にお米を炊くことも可能)

(4)塩・コショウで味を調えて仕上げる。ポリ袋のままお皿に置く。

 

ポイント:

多くのカレールーには小麦や乳製品が含まれていますが、カレー粉を使うことでアレルギー対応のカレーを作ることができます。また、食物アレルギーに対応した市販のカレールーを使うこともできます。

具材は火が通りやすいよう小さく刻みましょう。ツナ缶やサバ缶を入れてもおいしいでしょう。

【卵・乳不使用:保温水筒を活用したスパゲティ】

材料(1人分):

スパゲティ 100g

市販のスパゲティソース 1人分(※)

※ソースの種類によっては卵・乳が含まれる場合があるため注意してください。

 

作り方:

(1)スパゲティは半分に折り、保温水筒に入れる。

(2)保温水筒の中に熱湯を注ぐ。ふたをして、スパゲティの袋に記載されたゆで時間の2倍の時間を置く(例:ゆで時間5分の場合、10分放置する)。

(3)飲み口から湯切りをし、スパゲティを器に盛る。ソースとあえて完成させる。

 

ポイント:

水筒の保温機能を使うことで少量のお湯で温かいスパゲティを食べることができます。お皿にラップを敷いてからスパゲティを盛れば、お皿を洗う水も節約できます。

市販のスパゲティソースは、加熱せずあえるだけというタイプのものがお薦めです。スパゲティもソースも日持ちするので、アレルギー表示を確認して日頃から家庭に備えておきましょう。

【卵・乳不使用:ポリ袋で作るマーボー丼】

材料(1人分):

ご飯 1人分

豆腐 1/2丁

市販のマーボー豆腐の素(もと) 1人分(※)

※マーボー豆腐の素は、メーカーによってアレルギー表示が異なるため、注意してください。

 

作り方:

(1)豆腐はスプーンでざっくり切りながらすくって、ポリ袋に入れる。

(2)ポリ袋の中にマーボー豆腐の素を入れ、空気を抜いて口を縛る。

(3)沸騰したお湯の中で10分間温める。

(4)ご飯の上にかけ、完成させる。

 

ポイント:

豆腐を1/2丁使用した、ボリューミーなメニューです。肉を使用しなくてもたんぱく質をしっかり補えます。市販のマーボー豆腐の素はひき肉入りのタイプや、辛さや味などバリエーションも豊富です。日持ちするので、原材料表示を確認して、こちらも普段から常備しておくと便利です。

長ネギやナスなどの野菜を入れるのもお勧めです。

日頃から食材を備蓄し、有事に備えよう

災害に必要な食料備蓄は、最低3日分と言われていますが、食物アレルギーで配慮が必要な場合、2週間分の備蓄があるほうがよいそうです。

家族に何かしらの食物アレルギーがある場合は、アレルギー表示を確認し、今回紹介したような日持ちする食品を日頃から備蓄しておくことが大切です。最近ではアレルギー対応の非常食も増えてきているため、併せてチェックしておきましょう。

 

<執筆者プロフィル>

矢崎海里

管理栄養士・フードコーディネーター

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