「地震保険」対象になるものならないもの

地震保険とは

地震保険は、地震や噴火による火災や家屋の損壊、または津波による損壊、埋没流失による被害を補償する地震災害専用の保険です。

地震では、地震により津波が発生したり地震の発生により火山が噴火したりするため、地震の揺れといった直接的な被害だけでなく間接的なさまざまな被害をもたらします。

地震保険の目的とは

地震保険の目的は、「地震等による被災者の生活の安定に寄与すること」です。地震保険に関する法律の第一条(目的)より。

大規模な地震が発生すると、自宅や家財道具だけでなく、職場や学校、仕事など、私たちの生活に欠かすことができない大切なものまで失われてしまいます。

そのため、地震保険では、生活を立て直すためのあらゆるものに保険金が支払われるようになっています。

保険料に地域差がある理由

地震保険の保険料は、地域によって大きな差があります。なぜなら、地震保険の保険料は、「確率論的地震動予測地図」を使って算定しているからです。この地図には、地震の位置や規模、確率に基づいて、各地点がどの程度の確率で、どの程度揺れるのかを計算した結果が記載されています。地図上で地震が生じる確率が高く、その地震の規模が大きい地域ほど、保険料は高くなります。

政府 地震調査研究推進本部「確率論的地震動予測地図 2018年版」

https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2018/より

地震保険の対象と保険金額の範囲

地震保険で補償対象となるのは、所有している建物と家財です。

地震保険は単独で契約することができず、主契約として火災保険に加入していることが求められます。

地震保険の保険金額(最大で保険会社から支払われる保険金額)は、主契約となる火災保険の保険金額の30~50%の範囲内です。

例えば、火災保険の建物保険金が2,000万円の場合、地震保険の建物保険金額は、600万~1,000万円の範囲内で設定することになります(※限度額は建物が5,000万円、家財が1,000万円まで)。

 

地震保険の保険金額が、最大でも主契約である火災保険の保険金額の50%であることから、万が一、建物が全壊しても地震保険の保険金だけでは建物を建て替えることは難しいのです。

液状化で建物が傾いた場合はどうなるか

地震による液状化で、一定以上の角度に建物が傾いてしまった場合は、保険金が支払われます。

具体的には、木造建物(在来軸組工法・枠組壁工法)と鉄骨造建物は、傾斜が1度を超えるときや沈下が30cmを超える場合、全損として満額の保険金が支払われます。

したがって、建物そのものに大きな被害はなくても、満額の保険金が地震保険から支払われる場合もあります。

家財で支払われる保険金はどう決まるのか

地震によって家財が損害を受けた場合、保険金が支払われる範囲はどこまででしょうか。

家財の保険金を算出する際は、家財を大きく5つ(①食器類②電気器具類③家具類④身回品、その他⑤寝具・衣類)に分類し、その中で一般的に所有されていると考えられる品目(代表品目)の損傷状況から家財全体の損傷割合を算出し、全損、大半損、小半損、一部損の認定が行われ保険金が支払われます。

割引制度をうまく活用すれば、保険料が最大50%引きに

地震保険は、建物が建築された年代や、免震・耐震性能に応じた保険料の割引制度があります。例えば、建築基準法の改正により建物の耐震性が高められた1981年(昭和56年)6月1日以降(新耐震基準)に建築された建物なら、「建築年割引」(割引率10%)が適用されます。また、免震建築物なら、「免震建築物割引」(割引率50%)が適用されるなど、各種の割引制度があります。

参考:財務省「地震保険制度の概要」

https://www.mof.go.jp/financial_system/earthquake_insurance/jisin.htm

海外の地震による津波被害も地震保険の補償対象に!

海外で発生した地震による津波で建物や家財に被害が発生したときも、地震保険が利用できます。

 

前半でご紹介した「確率論的地震動予測地図 2018年版」では、日本の多くの地域で、「今後30年間に震度5弱以上の地震が26%以上の確率で発生する」と予測されています。

また、日本は世界有数の火山国として有名で、世界の火山の7%(108山)を占めており、継続的に噴火が発生しています。都道府県や市区町村によっては、津波ハザードマップや津波浸水予測図、火山ハザードマップといったハザードマップが作成され、都道府県や市区町村のウェブサイトで公表されています。

万が一のときのために、自分が住んでいる地域のハザードマップは必ず確認しておきましょう。

ハザードマップの例

港区「津波ハザードマップ日本語版」

https://www.city.minato.tokyo.jp/bousai/hazard_map/documents/tsunami_hazard_front_side_high_reso_ver.pdf

大規模な地震により被害を受けると、全壊してしまった建物の建て替えや修繕だけでなく、家財の買い替えや仮住まいの費用など、生活を再建するためにまとまった資金が必要になります。生活を再建するための資金が不足する可能性がある方は注意が必要です。

例えば、まだ住宅ローンが残っている建物が全壊しても、住宅ローンの支払いは残ります。貯蓄が少ないと不測の出費に対応できなかったり、勤務先も地震による被害を受け仕事がなくなったり収入が減ったりする状況で、仮住まいの生活を送らなければならないなど、地震による被害は物質的なものだけに限りません。

大規模な地震から自分や家族の生活を守るためにも、広い視野で地震保険を検討することが大切です。

<執筆者プロフィル>

三上隆太郎(みかみ りゅうたろう)

宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

株式会社MKM代表取締役 宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーとして不動産や損害保険の記事執筆や監修業務等を行う。著書に「自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本」(自由国民社)、「損害保険を見直すならこの1冊」(自由国民社)など。

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