セブン ローソン ファミマに聞いた「災害時の支援」


画像:PIXTA

コンビニエンスストアが災害時に、「災害時帰宅支援ステーション」「指定公共機関」になることをご存じですか?国や自治体と取り決めているんです。それってどのような支援を提供してくれるのでしょうか。知っておいた方がよさそうです。今回はコンビニ大手「セブン‐イレブン」「ローソン」「ファミリーマート」に災害時のサービスについて尋ねてみました。

帰宅困難者への支援

協力いただいたのは、「株式会社セブン&アイ・ホールディングス(以下セブン)」広報センター、「株式会社ローソン」広報部、「株式会社ファミリーマート(以下ファミマ)」広報部の方々です。

 

大きな地震などで公共交通機関がストップすると、自宅に帰れない「帰宅困難者」が多数発生すると予想されています。そんな事態に備え、コンビニと自治体との間には「帰宅困難者支援協定」が取り決められており、この協定に参加している店舗には「災害時帰宅支援ステーション」と記載されたステッカーが掲示されています。

(画像:内閣府「自治体との災害時帰宅困難者支援協定(減災への取組)」ページよりhttp://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/torikumi/tsh22004.html

 

ほとんどの店舗で、入り口横などドア付近の見やすい場所に掲示されています。今度コンビニに行ったときにはぜひ確認してみてください!

 

では、「災害時帰宅支援ステーション」ではどんな支援が受けられるのでしょうか。

 

セブン「可能な範囲で『水道水』『トイレ』『道路情報』等の提供を行います」

ローソン「まちのライフラインとして、可能な範囲でトイレの貸し出しや水道水提供、道路情報の提供などを行います」

ファミマ「帰宅困難者に対して水道水・トイレの提供、地図やラジオなどによる道路情報の提供を行います」

 

もちろんどういった対応ができるかは災害発生時の店舗の状況によるものの、水道水やトイレの提供などを中心に、いずれも帰宅困難者が一時的に立ち寄れる場所としての役割を担ってくれるようです。

 

実際に、家まで歩いて帰る事態になったりしたらトイレをどうするかは誰にとっても大問題ですよね。コンビニで借りられるかもと知っていれば、不安が少し減るのではないでしょうか。加えてコンビニでは、徒歩で帰宅する際に必要となる食料や水、防寒具やスマートフォンの充電器なども販売されています。売り切れが気になりますが、心強い存在となってくれそうです。

被災地での店舗営業は?

被災後の店舗営業はどうでしょうか。もちろん店舗自体が大きな被害に見舞われることもあります。「災害発生時は人命最優先が大前提」(セブン)で、店舗の営業継続可否については各加盟店オーナーが安全を確保したうえで判断するそうです。それはその通りですね。

 

そのうえで可能な限り店舗営業を継続するように、そして店舗を閉めなければならない場合もできるだけ早く営業が再開できるように、以下のような対策が考えられています。

停電でもできるだけ営業できるように!

セブン「店舗には無停電電源装置(UPS)を配備して、一時的な停電でもレジを稼働させ、営業を継続しやすい体制をとっています」

 

ローソン「全国支店事務所に小型発電機を配備しています。またローソン本部には、災害対策に活用する災害情報地図システムの機能も備えています」

 

ファミマ「店舗にて非常用電源を設置して、店舗停電時でもレジや店内照明の一部が稼働できるようにしております。全国の営業拠点には小型発電機等を配置して、災害に強い店舗づくりを推進しています」

 

その他、災害用マニュアルの整備や訓練の実施といった対応も行っているそう。被災地では「コンビニが開いている」というだけでホッとできる気がします。

災害後にコンビニが企業として行う支援

セブン、ローソン、ファミマのコンビニ大手3社には、災害対策基本法に基づく「指定公共機関」という役割もあります。災害時に自治体や国などからの要請に応じ、支援物資の調達や被災地への供給などを期待されていることを意味します。具体的にどんな支援を行うのでしょうか。

 

セブン「自治体との締結を通じ、情報交換や顔の見える関係構築を心がけています。災害時には飲料や食料品の供給など、国や自治体からの物資支援要請に可能な限り対応します」

ローソン「政府や自治体などからの要請に応じて、避難所などに向けて支援物資の供給を行います」

ファミマ「各自治体に対して、その時点で調達可能な物資を対象に物資供給を実施します(食料品、飲料、衣類、生活用品など)」

 

大規模災害で物流が途切れたとき、物資の供給をはじめ、生活インフラとして様々な機能を期待されているようです。

 

もともとコンビニには、マイナンバーカード(又は住民基本台帳カード)を利用すれば、住民票の写しや印鑑登録証明書など自治体の証明書を店舗内のマルチコピー機から取得できるサービスがあります。

 

災害発生後であっても、店舗が営業できて通信が可能であり、自治体側と連携できる状態であれば、原則的にはこのような行政サービスが提供されます。

これまでどのような支援を行ってきたか

過去の大規模災害時に行った支援についても尋ねました。

 

セブン「西日本豪雨(2018年)の際は、断水エリアの一部店舗で駐車場に仮設トイレを設置し、地域の方にも利用いただきました。また同じく西日本豪雨や熊本地震では、発災直後だけでなく継続的に(飲食料品や雑貨などを)支援しました」

 

ローソン「2019年の台風19号による被災地支援では、⻑野・福島・宮城3県の希望のあった避難所18か所にスイーツを無償で提供しました。また、株式会社NTTドコモより貸与された急速充電器を設置し、携帯電話の充電サービスも行いました。仮設店舗や移動販売車を使って被災地での早期営業開始、店舗での募金活動などを実施しています」

 

ファミマ「熊本地震(2016年)や昨年7月の豪雨では、自治体からの要請に応じて飲料水やおむすび・パン・加工食品などの支援物資をお届けいたしました。店舗での募金活動も実施しております」

 

災害で不安が続く中、「いつものコンビニ」の食べ物を口にすることで気持ちが落ち着くことができそうです。サービスを提供してくれるのもありがたいものです。

まとめ

トイレを貸してくれたり役立つものが購入できたりと、コンビニは非常時でも心強いですが、なにより「コンビニが営業している」ということそのものが、安心につながるように感じました。仕事とプライベートで東京都内を移動することが多いため、特に「災害時帰宅支援ステーション」は覚えておきたい取り組みでした。万一のときには駆け込みたいと思います。

一方で忘れてはいけないのは、被災地ではコンビニで働いている方たちも被災者であるということです。感謝の気持ちを持って利用したいです。

 

<執筆者プロフィル>

松本果歩

フリーランスライター

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