知っておこう!土砂災害から身を守るには適時避難


画像:PIXTA

日本の山地は険しい山が続く地形が多く、土砂災害や雪崩などの災害が起こりやすい特徴があります。毎年数千か所もの山地災害が発生し、大きな被害をもたらしています。住まいや職場が山の近くにある場合、どんな災害リスクがあるのか理解して備える必要があります。気象予報士で防災アドバイザーの筆者が、山の近くに住んでいる人が注意すべき災害と備えるポイントを紹介します。

山が近くにある場合に注意すべき災害

近くに山がある場合に注意すべき災害は、土砂災害・雪崩・水害などです。今回はこの3つの災害を詳しく見ていきます。

大雨・地震による土砂災害

大雨や地震などが発生すると、地下の深いところまで地盤がゆるむため土砂災害のリスクが高まります。山が近くにある場合は最も起こりうるものと考えておいてください。

国土交通省の土砂災害発生件数の推移によると、土砂災害は豪雨災害が多い年や大地震が発生した年に多くなる傾向があります。近年は豪雨が増加していることもあり、全体的に見ると土砂災害は微増していると言えます。

画像引用:国土交通省「令和元年の土砂災害発生件数が確定しました ~令和元年は過去4番目に多い発生件数を記録~」
https://www.mlit.go.jp/report/press/sabo02_hh_000091.html#:~:text=%E4%BB%8A%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%9C%9F%E7%A0%82%E7%81%BD%E5%AE%B3%20%EF%BC%91,%E4%BB%A5%E9%99%8D%EF%BC%94%E7%95%AA%E7%9B%AE%E3%81%AB%E5%A4%9A%E3%81%84%E3%80%82&text=%E9%9B%86%E8%A8%88%E9%96%8B%E5%A7%8B%E4%BB%A5%E9%99%8D%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%B9%B3%E5%9D%87,%E7%81%BD%E5%AE%B3%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AF%E9%81%8E%E5%8E%BB%E6%9C%80%E5%A4%9A%E3%80%82

 

土砂災害には、下記のような現象があります。
・がけ崩れ…山の斜面が崩れ落ちる
・土石流…渓流にたまった土砂が一気に下流に押し流される
・地すべり…山の斜面が地下水と重力によって滑る

土砂災害への備えが特に必要なエリアは、ハザードマップで「土砂災害警戒区域」に入っている場所です。まずはハザードマップを確認して土砂災害のリスクがあるエリアかを確認しましょう。

積雪や融雪による雪崩

大雪が降って積雪が増加したり気温が上がって積雪が解けたりすると、雪崩がおきて大量の雪が山の斜面を急激にくずれ落ちるリスクが高まります。

雪崩の現象には下記の2タイプあります。
・表層雪崩…積雪の表層部のみがすべり落ちる
・全層雪崩…積雪の全量がすべり落ちる

雪崩への備えが特に必要なエリアは、ハザードマップで「雪崩危険箇所」に入っている場所です。山が近くにある場合、まずはハザードマップで雪崩のリスクがあるエリアかどうかを確認しましょう。

ダムの決壊・放流による水害

山間部でダムが近くにある場合、ダムの決壊・放流による水害のリスクがあります。ダムの決壊は豪雨でダムの水位が許容量を超えることや地震によって発生します。ダムが決壊すると、ダムから水が流れ出し、浸水や洪水などの災害をもたらします。

通常はダムが決壊する前に放流します。そのため大雨によってダムが決壊する事例は近年ほとんどありませんが、水を放流することで下流の水位が増えて水害をもたらすことがあるのです。2018年7月の西日本豪雨の際には、山間に位置する愛媛県大洲市や西予市でダムの放流による浸水被害や死傷者が出ました。

ダム水害によって予想される下流の水害リスクは、洪水ハザードマップで確認できます。ダムが近くにある場合は、ハザードマップでダムの決壊・放流によって水害のリスクがあるエリアかを確認しましょう。

土砂災害に備えるポイント

土砂災害から身を守るポイントは、避難するタイミングです。気象情報を参考に判断しましょう。土砂災害から避難する注意点も併せて紹介します。

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