アウトドアだけじゃない!専門家が伝授 災害時のテント活用法


画像:PIXTA

災害が発生して電気もガスも水道も止まってしまい、冷暖房も動かない、助けもこない。そんなピンチに陥ったときに、テントを使えば自分なりに過ごせる「自分スタイル」が可能です。住まいを背負ってどこにでも移動でき、平時も災害時も工夫次第で楽しく快適に過ごせ、災害時にも日常らしさを継続する。テントでそんな「ヤドカリライフ」を考えてみませんか?

なぜテントなの?それは避難所が過酷な環境だから

一般的に、避難所の1人当たりの面積は1.5~2㎡。畳一枚程度のスペースしかありません。冷暖房も期待できない狭い環境で、知らない人と同じ空間で寝泊まりするわけです。避難所生活にはそれなりの準備と覚悟が必要です。

さらにコロナウイルス感染防止の面から密を避ける必要まである昨今、災害時の「住」を担う避難所の環境はさらに難しくなっています。

写真説明:東京・荒川が氾濫した場合の避難所イメージ。1人あたり約1.5㎡

災害時にテントはどう利用できる?

一方で、災害時のテント利用にはさまざまなメリットがあります。具体的に4つ挙げてみましょう。

避難所内での簡易個室として

知らない人との共同生活が大原則となる避難所で、プライベートな空間を確保することは非常に大切です。着替え、洗濯物干しをはじめ、おむつ交換、授乳にも便利です。横になりたいときやくつろぎたいときなど、使い方はアイデア次第です。
コロナ禍の避難では、テント利用により感染リスクを下げることも期待できます。

またテントの設置場所は体育館内でなくても、廊下、玄関、軒先なども使えます(実際の天候や環境に応じて、安全第一で判断してください)。

屋外での避難場所として

テントは風雨もしのげるので、屋外でももちろん使えます。避難所に行かず、自宅の庭などを避難場所とすることも可能になります。
窓がメッシュになっているタイプなら、暑い夏の風通しや虫よけも対策できます。

障がいがある方への合理的配慮として

障がいの特性によって、周りの人の気配が気になって休めない、不安になる、環境の変化が苦手な方もいます。そういった方にも、テントという落ち着いた空間を確保することは有効でしょう。

普段から事前の備えとして自宅でテント生活に慣れておくこともおすすめです。「テントごっこ」は結構楽しいものです。もちろん障がいのない方も、遊び感覚でぜひ取り組んでみてください。

こちらの画像は、家の中でテント暮らし体験を楽しむダウン症の豊田紘美さんと母親の笑子さんを2020年6月に取材した際の様子です。

笑子さんはこのようにお話しされました。
「障がい者は体育館などへの避難には抵抗があるかもしれません。プライバシーの面も心配です。(娘は)子どものころからテントが好きで、河原でキャンプの楽しい思い出があります。このテントはワンタッチで広げられて便利。2人ならゆったりと広く寝られます」

コロナ感染者の隔離スペースとして

もし家族に新型コロナウイルスの感染者が出て自宅待機となった場合、テントを使って部屋をゾーニングすることができます。

写真説明:設置の際は入り口を風上側に。新型コロナウイルスに陽性になった感染者をサポートしつつ、空気の流れをコントロールできる

写真説明:感染者をサポートする際には100円ショップのレインコート、手袋、フェースシールドを装着。感染リスクを軽減できる

テントはそれほど高価なものでなくても十分です。大手通販サイトなどでは、3~4人用のものを5000円弱から入手できます。

テントの代用。軽ワゴンやキャンピングカーも利用しよう

災害時にはテント以外にも「ヤドカリライフ」の方法があります。

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