4月に気をつけたい防災キーワード「爆弾低気圧」!


春本番の4月。気温が暖かくなり、外で過ごすと気持ちがいい季節がやってきます。
新型コロナウイルス対策で密を避けながらも、外出する機会も増えるのではないでしょうか。

そんな4月に気をつけたい防災キーワードはこちら!

この時期は、冷たい冬の空気と暖かい春の空気がぶつかるため、発達した低気圧が発生しやすい季節です。この発達した低気圧は「爆弾低気圧」と呼ばれ、台風と同程度の暴風をもたらすことがあります。春の荒れた天気を表す「メイストーム」や「春の嵐」なども、爆弾低気圧によるものです。そこで、この記事では爆弾低気圧の特徴や対策について紹介します。

よく聞く「爆弾低気圧」って?

爆弾低気圧とは、「中心気圧が24時間でおよそ24hPa以上低下する低気圧」のことです(注)。
なお、気象庁では、「爆弾」という言葉がふさわしくないという理由から「急速に発達する低気圧」などと言い換えるように推奨しています。ただし、メディアや天気予報では、インパクトがあってイメージしやすいことから一般的に使用されています。

(注)正確には「中心気圧が24時間で24hPa×sin(φ)/sin(60°)以上低下する低気圧」を爆弾低気圧と言う。たとえば、緯度が30°なら24時間で13.9hPaの気圧低下、緯度が35°なら24時間で15.9hPa低下する低気圧が爆弾低気圧と定義される。
編集部注)読売新聞では「猛烈低気圧」と記載しています。

なぜ4月に「爆弾低気圧」が発生する?

低気圧は1年を通して発生しますが、4月に爆弾低気圧が多いのはなぜでしょうか?

低気圧のエネルギー源は、簡単に言うと「暖かい空気」と「冷たい空気」の温度差です。
暖かい空気は南風をもたらし、冷たい空気は北風をもたらします。この温度差が大きいと、温度の差を縮めようとして南風・北風はさらに強まります。そして、行き場を失った2つの風は低気圧の渦となってぐるぐる回ります。
このように、温度差が大きいと渦巻きが強くなって低気圧も発達するわけです。

4月は、冷たい冬の空気と暖かい春の空気が日本付近に同居しています。4月になっても雪が降るくらい寒い日もあれば、半そででも汗ばむほどの夏日になることもありますよね。
春先は、他の季節に比べて気温差が大きく、強い北風・南風が吹きやすいことから、爆弾低気圧のような急速に発達する低気圧が多くなります。

「爆弾低気圧」に備えて気を付けたいこと

爆弾低気圧の影響で発生する恐れのある災害は、主に以下の2つです。

①暴風(暴風雪)
②高波

爆弾低気圧で気を付けるべき災害の1つに暴風があります。
ここで注意してほしいのが、台風と爆弾低気圧では風の吹き方に大きな違いがあることです。

台風は、日本に近づく前から太平洋ですでに発達しているため、「台風が近づいてくる=嵐(暴風)が近づいてくる」と事前に想定ができます。
ところが、爆弾低気圧は日本付近にもともとあった低気圧が急速に発達するので、短時間で風がどんどん強まります。台風のように細かい進路図があるわけでもないので油断しやすく、「気づかないうちに暴風が吹き始めた!」という状況にもなりかねません。
特に北日本では、雪を伴った暴風(暴風雪)になる場合もあるので、より一層注意が必要です。

また、暴風によって発生する高波も危険です。
台風による高波は、日本に近づく前から「うねり」となってやってきて、台風の接近に伴って段階的に波が高まります。
一方、爆弾低気圧は、その海域で暴風が吹き始めると、一気に波が高まります。暴風と同じように、短時間で状況が一変し、海が大荒れになります。

気温差が大きい週の「雨」予報は要注意!

爆弾低気圧による暴風・高波に備えるためには、気象庁が発表している気象情報を確認しましょう。
私はまず、週間予報の天気と気温から大まかな荒れ具合を予想しています。

前述のように暖かい空気と冷たい空気の温度差が大きいと爆弾低気圧になりやすいので、爆弾低気圧が通過する前後は、週間天気予報の最高気温と最低気温の差が大きくなる傾向があります。気温差が大きな週に「雨」が予想されている日があったら、「その日に発達した低気圧が来るかもしれない」と考えられます。
週間天気予報を見るときは天気だけでなく、気温が急に上がっている日や、下がっている日がないかも併せて確認するとよいでしょう。

爆弾低気圧によって大荒れの天気が予想されるときは、数日~1日前に気象庁から「暴風及び高波に関する気象情報」が発表されます。
そのあとは状況に応じて、「強風注意報」「風雪注意報」「波浪注意報」などが発表され、さらに重大な災害のおそれがある場合は、「暴風警報」「暴風雪警報」「波浪警報」などが発表されます。最新の注意報や警報を確認しましょう。

爆弾低気圧による暴風や高波は広範囲に及ぶことも多く、災害が長期化することもあります。悪天候が予想されているときは、屋外、特に海や山のレジャーは避けてください。
また、暴風によって停電が発生したり、交通障害で公共機関が使えなくなったりすることもあります。最低でも3日分の食料や飲料を自宅に備えておくとよいでしょう。
暴風が吹いているときは飛散物でケガをする危険性もあります。暴風が収まるまで、外出は控えて屋内で過ごすようにしましょう。

高波対策について詳しく読みたい方はこちら!
●確認!そばに海がある人向け 津波・高潮・高波対策
https://www.bosai.yomiuri.co.jp/article/1857

<執筆者プロフィル>
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
愛媛県在住。防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌のコラム、特集記事を執筆。BS釣り番組でお天気コーナーを担当。自治体、教育機関、企業の防災マニュアル作成に参画。講演も多数。

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