災害時お金の引き出しに通帳と印鑑以上に大切なもの


災害時の持出品には「印鑑」と「預金通帳」がリストアップされています。金融機関でお金を下ろすには、通帳と印鑑、またはキャッシュカードが必要です。とはいえ、災害時には通帳や印鑑を持ち出せなかったり紛失したりすることもあることでしょう。そのような場合、お金の引き出しはどうなるのでしょうか?この記事では、災害時のお金に関する手続きについて紹介します。

災害時に通帳と印鑑がないときはどうするか

先に結論をお伝えすると、災害時には印鑑や通帳がなくてもお金を下ろすことができます。

本人確認ができれば引き出し可能

大規模災害が起きたとき、日本銀行は被災地の金融機関に対し「災害時における金融上の特別措置」を要請します。これを踏まえて金融機関は、印鑑や通帳がない被災者に対しても預金の引き出しをするよう、柔軟に対応をすることになっています。基本的に本人であることが確認できれば預金の引き出しは可能です。

1日に引き出し可能な金額も決まっており、多くの金融機関は1日10万円まで、ゆうちょ銀行は1日20万円まで引き出すことができます。

金融機関の支店が避難先にない場合

避難先に、口座のある金融機関の支店や営業所がない場合もあるでしょう。そんなときは他の金融機関でも預金の引き出しができる場合もあるので、金融機関に問い合わせてみましょう。

ネット銀行の場合はどうなるの?

ネット銀行で災害時にお金を引き出したい場合、コールセンターへ電話して本人確認ができれば、本人名義の他行口座へ1回10万円までなら振り込みをしてもらえます。実店舗のある金融機関に振り込みしてもらうことができれば、お金を引き出せますね。

一番大切なのは「身分証明書」

上記のように、災害時に印鑑や通帳、キャッシュカードがなくても、本人確認が取れれば預金を引き出すことができます。
このとき重要なのは、本人であることを証明できる「身分証明書」の提示です。金融機関で身分証明書として使える主なものは以下の通りです。

○顔写真付きの身分証明書
・運転免許証
・運転経歴証明書(2012年4月1日以降交付のもの)
・パスポート
・マイナンバーカード
・在留カード・特別永住者証明書
・身体障害者手帳など官公庁が顔写真を貼付した各種福祉手帳 など

○顔写真のない身分証明書
顔写真のない身分証明書の場合、2種類の本人確認書類や公共料金の領収書などを組み合わせて提示するといった条件を前提に、身分証明書として扱うことができます。

・健康保険証
・各種年金手帳
・後期高齢者医療被保険者証
・介護保険被保険者証
・母子健康手帳
・印鑑登録証明書 など

顔写真付きの身分証明書のほうがよりスムーズに確認してもらえます。運転免許証やマイナンバーカードなら普段からお財布などに入れて携帯しておけるので、いざというときに助かりますね。ただし、紛失には注意しましょう。

身分証明書がない場合は?

もし、身分証明書がない場合、預金の引き出しはどうなるのでしょうか?
そのような場合は暫定的措置として、金融機関で氏名、住所等を申告して本人であることが確認できれば、預金の払い戻しをしてもらえる場合があります。金融機関に相談しましょう。

口座番号がわかれば対応はスムーズに

災害時に通帳や印鑑がなくても、本人確認ができれば預金を引き出すことは可能です。ただ、どうしても口座確認などに時間がかかり、即日の引き出しができない場合があります。

そこで、自分の口座が早く確認できるよう、通帳の表紙をコピーしておき非常用持ち出し袋に入れておくとよいでしょう。銀行名と支店名、口座番号などをメモしておくのもよいかもしれません。身分証明書があり、口座番号などの情報がわかれば、災害時でもスムーズに対応してもらえるでしょう。

非常用持ち出し袋にも現金を用意しておこう

最近はキャッシュレス決済が普及しているため、普段は現金を持ち歩かないという人もいるのではないでしょうか。
しかし災害時はキャッシュレス決済が役に立たなくなるかもしれません。なぜなら、停電が起きると店舗のレジやネットワーク回線が使えなくなる場合が多いからです。現金がなければ食料や飲み物もが買えないかもしれません。そんな状況を避けるためには、非常用持ち出し袋に現金を入れておくことが重要です。

現金はいくら持っていればいい?

非常時の保存食や飲料水などは、最低でも3日分は持っておくのが良いといわれています。また、ライフラインが停止になった場合を想定して、1週間分は持っておくべきともいわれます。

これらを踏まえると、少なくとも1週間は避難生活が続いた場合を想定して、現金を準備しておくのがよいかもしれません。その際、1週間分の生活費を目安に現金を用意しておくとよいでしょう。いつもの1か月分の基本生活費から7日分を計算してみてください。
ご家庭によっては10万円程度になるかもしれません。少し額が多いように感じるかもしれませんが、食料品、飲料水だけでなく、衛生用品や衣料品などを購入する必要が出てくるかもしれません。何があってもいいように、いつもの家計状況から計算して、災害時の1週間を過ごせる金額を割り出し、用意しておきましょう。

災害時の現金は小銭を用意

災害時に買い物をする際は、店舗のレジが動かないかもしれないし、おつり用のお金が十分でない可能性もあります。そんな状況を考えると災害時の現金は千円札、100円玉や10円玉など硬貨で持っていたほうが役立ちます。日ごろから貯金箱に小銭を貯金する習慣がある場合、いざというときにそれを活用できますね。

まとめ

災害時は印鑑や通帳を持ち出せなかった場合でも、金融機関で本人確認さえできれば口座にあるお金を引き出すことができます。ただ、スムーズに本人確認ができるよう、できれば運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きの身分証明書を携帯しておきましょう。また非常用持ち出し袋には、約1週間分の生活費を千円札や小銭に両替して持っておきましょう。

災害時にもやっぱり必要になるお金。改めて非常用持ち出し袋をチェックしてみてください。

参考サイト
法テラス
https://www.houterasu.or.jp/saigaikanren/saigaiqa/qaindex/kariire_loan/qa5_5index/qa5-5.html

日本銀行 「災害被災地域の金融機関等に対する特別措置の要請」とは何ですか?
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/bcp/d03.htm/

ゆうちょ銀行
https://faq.jp-bank.japanpost.jp/faq_detail.html?category=&page=1&id=1131

全国銀行協会 本人確認書類って何?
https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-f/7483/

ソニー銀行 災害に遭われたお客さまへ
https://moneykit.net/visitor/saigai/

<執筆者プロフィル>
前佛朋子
ファイナンシャルプランナー(CFP®)

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