暴風、雪崩をもたらすことも!知っておこうメイストーム

メイストーム

ニュースや天気予報などで「メイストーム」という言葉を聞いたことはありませんか?
5月ごろの気象には、メイストームと呼ばれる春の嵐があります。メイストームは大雨や暴風、猛吹雪などをもたらし、台風以上の威力になることもあります。
この記事では、春から初夏に気をつけたいメイストームのメカニズムや、防災について紹介します。

「メイストーム」とは「春の嵐」のこと

メイストームの「メイ」はMay(5月)、「ストーム」はStorm(嵐)のことです。直訳すると「5月の嵐」のことですが、一般的には3月から5月にかけて発生する春の嵐を、メイストームと呼んでいます。

メイストームをもたらすのは「温帯低気圧」と呼ばれる低気圧です。温帯低気圧そのものは季節を問わずあり、珍しくはありません。しかし3月から5月に日本にやってくる温帯低気圧には急速に発達するものもあり、それが台風並みの強さになることもあります。この発達した温帯低気圧によってもたらされる大雨・暴風などの荒れた天気が、メイストームなのです。

ちなみに「メイストーム」という名称には意外と長い歴史があります。1954年5月8日に黄海で発生した低気圧に、初めて使われました。

メイストームが春に発生しやすい理由

メイストームでポイントになるのは、発達した温帯低気圧です。
春はたくさんの温帯低気圧がやってきて雨を降らせます。この温帯低気圧は、初夏の暖かい空気と春の冷たい空気のぶつかり合いによって発生します。種類の違う空気がぶつかり続けることで空気が渦巻いて低気圧に成長します。

春に発生する温帯低気圧のすべてがメイストームをもたらすわけではありません。
温帯低気圧になっても、暖かい空気と冷たい空気の温度差が小さい場合や、暖かい空気と冷たい空気のぶつかり合いが弱い場合は、温帯低気圧はそこまで成長しません。

メイストームをもたらすほどの温帯低気圧に成長するのは、暖かい空気と冷たい空気の温度差が大きい場合や、暖かい空気と冷たい空気のぶつかり合いが強い場合です。その場合、低気圧は発達を続け、メイストームをもたらすほどの温帯低気圧に成長するのです。
春はほかの季節に比べて暖かい空気と冷たい空気の温度差が大きいため、温帯低気圧が発達しやすく、メイストームのような嵐をもたらします。

最近では、急速に発達する温帯低気圧のことを「爆弾低気圧」と呼ぶことがあります。メイストームと爆弾低気圧は混同されやすいですが、メイストームは、低気圧の名称ではなく気象現象の名称です。「爆弾低気圧によってもたらされる嵐がメイストーム」と考えてください。

参考記事:4月に気をつけたい防災キーワード「爆弾低気圧」!

メイストームによる被害

メイストームの特徴は、広範囲にわたって暴風が吹き荒れることです。

メイストームをもたらす低気圧のエネルギー源は、先述の通り冷たい空気と暖かい空気です。冷たい空気は中国大陸から、暖かい空気は太平洋からやってきます。規模の大きな空気がぶつかり合うため、暴風の範囲も広域になります。

加えて台風は接近してから急に風が強まりますが、メイストームの場合は温帯低気圧が接近する前から風が強まります。暴風の吹く期間が長期化するので、海岸では高波による被害の恐れもあります。

また温帯低気圧の接近前後は、以下のような現象が起こります。

①低気圧が接近する前は、強い南風が吹いて気温が上がる
②低気圧が通過すると、強い北風に変わって気温が下がる

このように風向きと気温が大きく変化します。そのため、山沿いでは低気圧が通過する前に気温が上昇して雪崩が起きるおそれがあります。そして低気圧が通過した後には、山沿いや北日本を中心に猛吹雪になることがあります。

つまりメイストームによる被害は単に暴風・高波だけではありません。低気圧の接近によって風向きや気温が急変化し、それによって備えるべき災害が山沿いや海沿いなど地域ごとに変わる点にも注意する必要があります。

山と海のレジャーのときはメイストームを要チェック!

メイストームで特に気をつけてほしいのは、山や海のレジャーです。
山では暴風雪や雪崩に巻き込まれるリスクに加えて、大雪によって下山できなくなることもあります。いずれも命にかかわりかねません。
海では暴風や高波に巻き込まれるリスクや、低気圧の通過前後で南風から北風に変わるので、場所によっては一気に暴風が吹き出すこともあります。気温差も大きいです。

メイストームが予想されると、数日前から気象情報で注意を促す発表があります。また週間天気予報を見ると、メイストームが予想される日は雨予想となり、最低気温や最高気温も前後で大きく変わります。このように週間天気と気象情報から早めにメイストームの予想ができます。

春は穏やかな天候も多く、何をするにも気持ちがいい季節です。大型連休を使ってレジャーの計画を立てる人も多いでしょう。
しかし、メイストームによって短時間で天気が急変することもあります。天気が急変してからでは避難することができません。計画を立てていたとしても断念する勇気を持ち、山や海には近づかないようにしてください。

メイストームの最中にあるときは、気象庁の注意報・警報などの情報やニュースサイトの避難情報などをこまかくチェックし、身に危険を感じるときは早めに避難してください。

<執筆者プロフィル>
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
愛媛県在住。防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌のコラム、特集記事を執筆。BS釣り番組でお天気コーナーを担当。自治体、教育機関、企業の防災マニュアル作成に参画。講演も多数。

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