災害に備えて用意しておきたいお金、発生後にもらえるお金

近年、集中豪雨や台風の襲来による自然災害が目立つようになりました。2019年に千葉県に甚大な被害をもたらした台風15号や、長野県から関東・東北まで河川氾濫による被害をもたらした台風19号は記憶に新しいのではないでしょうか。
そこで、自然災害による住宅への被害のケースとして必要となる補修費・生活費のほか、災害時の公的支援制度や請求できる保険金とその注意点について解説します。

災害に遭うと必要になる補修費用

集中豪雨や台風などの自然災害によって、どのような被害が住宅に及ぶのでしょうか?いくつかのケースで見てみましょう。

【ケース・その1】

○台風で屋根が壊れ、雨水が吹き込む

屋根が壊れたら応急処置としてブルーシートを張ります。しかし、自分で作業するのは危険なので業者に依頼できる場合は業者にお願いしたほうがよいでしょう。その後、屋根の補修を依頼します。

【ケース・その2】

○飛来物により窓ガラスが割れる
○家の外壁やドアが壊れる

窓やドアなどが壊れたら専門業者に補修を依頼します。段ボールやブルーシートなどで応急処置をする際は、飛び散ったガラスでけがをしないよう注意しましょう。

【ケース・その3】

○川の氾濫で床上浸水が起きる
○台風で屋根や外壁が壊れ風雨が吹き込み家電品や家具が壊れる
○集中豪雨による床上浸水で家電品や家具が壊れる

床上浸水で自宅が水浸しになったら、キッチンやトイレなどの設備が壊れるかもしれません。また、畳やじゅうたん、家具、家電品などの家財が使えなくなります。その際は設備の修理や家具、家電品の買い替えが必要になります。

【ケース・その4】

○集中豪雨で土砂崩れが起き、家の中に土砂が流れ込む

土砂で住宅が押しつぶされたり、柱や壁が傾いたりする可能性があります。そうなると、家の解体や建て替え、補修が必要になるでしょう。また、家具や家電品などの買い替えも必要になるかもしれません。

以上、4つのケースをご紹介しました。賃貸の場合だと補修費用は大家さんの負担になりますが、自己所有物件の場合はまとまった費用が必要になります。また、賃貸に住んでいる場合でも、家財については自己負担での買い替えが必要になります。補修費用は業者によって異なるので、お住まいの地域を担当してくれる業者に相談してみましょう。また、国が指定する自然災害の場合は、補修費用を助成してくれる公的支援制度が利用できるかもしれません。

被害に遭ったときに受け取れる給付金

台風や集中豪雨などで自宅が被害に遭ったとき、心配なのは多額の補修費用ではないでしょうか。想定外の出費となり、その後の家計への影響が心配になる方も多いでしょう。
しかし、ご安心ください。日本では災害に遭ったときに使える公的支援制度があります。どのような支援があるのか見てみましょう。

□住宅の応急修理制度

これは、災害救助法に基づき、自宅の応急的な必要最小限度の修理費用が支給される制度です。応急修理の対象範囲は屋根、壁、床、トイレやキッチンの配管・電気配線など、日常生活に欠くことのできない部分が対象となります。
2019年の台風15号や19号の被害では、半壊、または大規模半壊の場合は595,000円まで、一部損壊(準半壊)の場合は300,000円までの修理費が市町村から支払われました。災害ごとに修理限度額が設定されるので、市町村のホームページで確認しましょう。

□被災者生活再建支援制度

住まいが自己所有、賃貸に関係なく、自然災害によって自宅が大きな被害を受けた世帯に対し、被災者生活再建支援金が支給される制度です。
被災者生活再建支援制度では、建物の被害状況に応じ「基礎支援金」として以下の額が支給されます。
〇全壊世帯:100万円
〇大規模半壊の世帯:50万円

また、住宅の再建方法に応じて「加算支援金」が支給されます。
〇建設・購入:200万円
〇補修:100万円
〇賃借(公営住宅を除く):50万円

「住宅応急修理制度」や「被災者生活再建支援制度」を申請する際、必ず必要になるのが、「罹災証明書(り災証明書)」です。これは自然災害で受けた被害状況を証明するものです。被害の程度を示すために、片付けなどをする前に必ず被災した現場そのままの写真を撮っておきましょう。

被災したときに請求できる保険金とその注意点

災害に遭い自宅が被害を受けた場合、加入中の火災保険から「損害保険金」が支払われます。火災保険では火災のほか、「風災」、「水災」、「落雷」「雹災」「雪災」なども補償の対象として契約することができるのです。

○風災・水災の補償対象となる被害

  • 台風で屋根が壊れた
  • 暴風雨で窓やドアが壊れた
  • 大雨で床上浸水した、あるいは地盤面より45cmを超えて浸水した
  • 土砂崩れで自宅が被害を受けた
    など

地震や噴火、津波による被害は火災保険では対象外となりますが、別途、地震保険を契約することで補償されるようになります。

また、火災保険は「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財」から必要な補償を選択して契約します。ご加入中の火災保険で家財の契約をしている場合、風災や水災で家具や家電品にも被害が及んだときに損害保険金の請求ができます。ただし、契約内容が建物のみになっている場合は、家財の被害に対しての請求はできません。

保険会社へ損害保険金を請求する際には、いくつかの注意点があります。
受け取れる損害保険金は、損害額から免責金額を差し引いた額となります。ほかに注意したいのは、火災保険の補償対象外となるものがある点です。自動車、パソコンデータ、帳簿、有価証券、クレジットカードなどです。自分の契約内容をよく確認しましょう。

また、損害保険金の請求期限は3年です。請求を先延ばしにしていると肝心な保険金が受け取れなくなるので、被害に遭ったら速やかに保険会社へ請求しましょう。

当座に必要な生活費として1か月分を現金で

被災しても、命をつなぐために食べ物や飲み物を確保しなければなりません。また、衣類・洗剤・トイレットペーパーなどの日用品の買い出しや、車で買い物へ行ったり災害ゴミを集積所へ運んだりする際のガソリン代などのために、ある程度のお金が必要になります。

しかし、災害時に停電が起こるとATMでお金を引き出せなくなり、クレジットカードやスマホ決済などキャッシュレスでの支払いもできなくなります。

そんなとき、役立つのが現金です。生活が元に戻るためには日にちがかかります。その間の生活費として現金を持っておくと安心です。

少なくとも1か月は暮らしていけるように、必要最低限の食費・日用品費・ガソリン代を現金で持っておきましょう。その際に考えておきたいのは、停電時の店では釣り銭がないかもしれないという点です。1万円札ばかりで持つよりは、一部を千円札や小銭などに崩して持っていたほうがよいでしょう。現金を手元に置く際には防犯面にも注意してください。
その他、いざというときの緊急予備資金として、家計口座に半年分の生活費を貯金しておくことをおすすめします。災害に遭ってから生活を立て直すまでに時間がかかった場合に役立ちますし、災害時だけでなく仕事が休業になるなど他のリスクに直面した際も利用することができます。

まとめ

台風や集中豪雨に見舞われ、自宅が被害を受けた場合には、壊れた箇所の補修をしなくてはなりません。こうした災害での補修費用については公的支援制度があり、要件を満たせば自宅の補修費用が助成されます。また加入中の火災保険から損害保険金が受け取れる場合もあるので、火災保険の加入状況をよく確認しておきましょう。
台風や集中豪雨が増える時期には、緊急時の生活費として必要最低限の生活費を現金で持っておくと安心です。いつ自分の身に降りかかるかわからないのが災害です。今のうちにできる備えはやっておきたいですね。

【参考URL】
内閣府「公的支援制度について」
東京都防災ホームページ「災害時における被災者生活再建支援」
日本FP協会「災害に備える くらしとお金の安心ブック」
内閣府「災害救助法に基づく住宅の応急修理に関するQ&A」
東京海上日動「住まいの保険」

 

<執筆者プロフィル>
前佛朋子(ぜんぶつともこ)
ファイナンシャルプランナー(CFP®)・整理収納アドバイザー1級
ライターとして節約、家計、終活、介護、不動産、ペット保険などに関する記事を複数の大手メディアで執筆している。2012年2級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)取得、2020年2月からCFP®認定者。

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