災害時「車中泊」の注意点とお役立ちアイテム

大規模地震災害などでは自家用車が避難場所として活躍します。とりわけ新型コロナウイルスの感染拡大によって、車中泊への関心が高まっています。今回は災害時の車中泊について注意点のほか、事前に備えておくとよいアイテムを紹介します。

災害時車中泊のメリットとデメリット

自家用車がある場合、災害時の避難場所として選択肢のひとつになりますが、車中泊にはメリットとデメリットのどちらもあります。

災害時車中泊のメリット

車を避難場所として選ぶことの最大のメリットは、大勢が同じ空間で過ごす避難所と違い、家族単位でプライバシーを確保できることです。
また、事前に車中泊用に必要なアイテムをそろえて車内環境を整えておけば、避難生活を快適に過ごすことも可能になります。トランク等に食材や衣服、寝具、衛生用品といった生活用品を積めることは大きなメリットとなります。
もちろん家族がまとまって動ける移動手段としての機能も大きいですね。

災害時車中泊のデメリット

一方で避難生活を車中で過ごす上で最も大きな課題が健康リスクです。

エコノミークラス症候群・熱中症・一酸化炭素中毒

車中泊で注意しなければならない健康リスクは下記3点です。

  • エコノミークラス症候群
  • 熱中症
  • 一酸化炭素中毒

いずれも死に至ったケースが報告されています。命に関わる重大な健康リスクとして認識しておきましょう。特にエコノミークラス症候群は、同じ姿勢を6時間以上していると、ふくらはぎなど足の静脈に血栓(血の塊)ができやすく、血栓が肺の血管に詰まると、呼吸困難や激しい胸の痛みを引き起こします。季節を問わず注意が必要です。
熱中症は夏に、一酸化炭素中毒は主に冬の降雪時に注意が必要です。

車中泊をする上での注意点

こうした健康リスクを踏まえ、安全に過ごすうえで気を付けなければならないことをまとめました。

1)エコノミークラス症候群の予防に努める

一般社団法人日本旅行医学会は、車中泊のエコノミークラス症候群予防のため<全ての人がやるべき7ヶ条>を公開しています。車中泊を考えている場合、参考にするとよいでしょう。

  1. 4~5時間ごとに歩く:車外に出て散歩をする。車中で座ったまま下肢の屈伸運動をする。
  2. 車中で座ったままで、かかとやつま先の上下運動と腹式深呼吸を1時間ごとに3~5分行う。
  3. 水分を摂る:ミネラルウォーターか薄いお茶が望ましい。
  4. ゆったりした服装を:男性は、ベルトをゆるめる。女性は、下着をゆるめ、ゆったりとした衣類を着用する。
  5. 血行を悪くするので、足は組まない。
  6. 不自然な姿勢で寝てしまうため、睡眠薬は使用しない。
  7. 数人で車中泊する場合は、女性や高齢者をドア側に。

(引用:日本旅行医学会「車中泊の血栓症予防!」

2)エンジンをかけっぱなしにしない

エアコンやオーディオ設備のためにエンジンをかけたままにするケースが少なくありません。しかし、エンジンを稼働させたままでいると、以下の3つのリスクにさらされます。

  • 排ガスが車内に充満して起きる一酸化炭素中毒
  • 長時間のエンジン稼働による枯れ草など可燃物への引火
  • ガソリン消費によるガス欠

特に一酸化炭素中毒は、予兆を感じることなく中にいる人が意識を失います。要注意です。

3)車を駐車する場所を選ぶ

車を駐車する場所の選定も重要です。

  • 安全な場所(傾斜地でない平らな場所、引火物のない場所など)
  • 他人に迷惑がかからない場所
  • 行政指定の避難所近くの駐車スペース
  • 給水、トイレ設備のある施設の近く

これら4つを満たした場所に駐車することが理想です。
傾斜地での駐車はサイドブレーキをかけていたとしても余震などの衝撃で車が動いてしまい、事故が発生することもあるので注意しましょう。
行政指定の避難所近くであることも重要です。避難所に届く食料、水などの物資や各種情報を得る上でとても重要です。

4)季節に応じた対策を考えて準備する

車は中で生活する用途を目的として作られていません。家屋と比べて自然環境の影響を強く受けることとなります。車中泊をする上で特に意識しておきたいのが下記4点です。

  • 換気(通年)
  • 直射日光の遮断(夏)
  • 冷風の確保(夏)
  • 防寒(冬)

中でも家族が複数いる場合、車中の二酸化炭素濃度は短時間で増加します。換気はとても大切です。

車中泊のためのお役立ちアイテム

アウトドア用品には、車中泊を快適にするためのアイテムが多数販売されています。これらは災害時の車中泊生活にも大いに役立ちます。防災準備品として備えておくことを検討してみてはいかがでしょうか。

健康的な睡眠を確保するためのアイテム

エコノミークラス症候群対策として特にお薦めしたいのが、車中泊用マットレスです。
普段はロール状で睡眠時に広げて使います。マットレスの厚みで車内の凹凸をうまく解消し、フラットな睡眠スペースを作り上げてくれます。適度なクッション性があるため、睡眠時に背中痛や腰痛などが生じるのを防いでくれるのもポイントです。

暑さを軽減するためのアイテム

夏場の暑さ対策に役立つのが、持ち運び可能なポータブルクーラーや扇風機です。これらを活用することでエアコンを切ることができます。普段から使えるので人気があります。防災準備の基本はなるべく日常生活で使用しているものを災害時に活用することです。どちらも普段から使用できるので費用対効果は高いでしょう。

暑さ対策としては、ガラス面の直射日光遮断や紫外線遮断対策も有効です。車中泊用シェードは車内温度を上げないために欠かせません。シェードは、外部から車内が見えないようにするのにも役立ちます。

電力確保のためのポータブル電源

ポータブル蓄電池(充電式)もぜひ備えておきたいアイテムです。車から電気を得ることができますが、ガソリンの消費やバッテリーの消費を抑制するためです。こちらも日常生活で使用でき、停電対策としても効果的です。

まとめ

災害時の車中泊について主に注意点とお役立ちグッズを紹介しました。車内での避難生活には健康リスクが存在し、死に至る恐れもあることを認識しておいてください。健康リスクを回避するために、車中泊に対する知識を集め、しっかりと準備をしてください。

 

<執筆者プロフィル>
榑林宏之(くればやしひろゆき)
一級建築士(BAUMPLANNING一級建築士事務所代表)
中堅ゼネコン設計部を経て独立、一級建築士として活動。自然環境への取り組み(自然との共生)の一環として自然災害・防災(主に地震災害・防災)研究及び啓発活動を推進しています。

 

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