梅雨時は注意!電源タップの「トラッキング火災」予防と正しい使い方

トラッキング火災とは?

「トラッキング火災」をご存じでしょうか。トラッキング火災とは、家庭のコンセントが火元となって発生する火災のことです。

コンセント付近にたまったホコリによって、電気の通り道となる炭化導電路「トラック」が作られ、このトラックから火災が発生することから「トラッキング火災」と呼ばれます。

梅雨時は特に注意が必要です。
この記事ではトラッキング火災を防ぐための、家庭でのチェック方法や電源タップの正しい使い方を紹介します。

なぜ梅雨時にトラッキング火災が多くなるの?

東京消防庁によると、2018年に起きた3,972件の火災のうち電気機器による火災は1,205件にのぼり、全火災件数の約3割を占めています(参考:東京消防庁「電気火災を防ごう」)。

トラッキング火災は、下記のような流れで発生します。

(1)コンセントや電源プラグ周辺にホコリがたまる
(2)たまったホコリが空気中の水分を吸収して、湿気を帯びる
(3)湿気によって電源プラグの刃と刃の間にわずかな電流が流れて、火花放電が発生する
(4)火花放電によって電源プラグの刃と刃の間の樹脂カバーが劣化し、炭化導電路(トラック)ができる
(5)炭化導電路(トラック)によって電流が繰り返し流れるようになり、発火の原因となる

このように、トラッキング火災はコンセント付近にたまったホコリが原因で起こります。
たまったホコリが湿気を帯びると、電流が流れやすくなり、電流が流れることによって発火の原因となります。そのため湿度の高い6月~8月にトラッキング火災が多く発生します。

こんな家庭は注意!トラッキング火災リスクのチェック項目

トラッキング火災が起こりやすい状況をチェック項目にしてみました。
項目にあてはまる数が多いほどトラッキング火災が発生しやすいといえます。

□ コンセントを掃除していない
□ タコ足配線している
□ 電源コードがねじれたまま使用している
□ 電源コードを束ねて使用している
□ 古い電源タップやコードを使用している
□ 使っていない機器でもコンセントにさしたままにしている
□ 使わないコンセントの穴をふさがず開けたままにしている
□ 電源プラグのさしこみが甘い・緩んだ状態で使用している

あてはまるチェック項目の数が多い場合は注意が必要です。
下記を参考に対策することをお勧めします。

トラッキング火災を防ぐには?

トラッキング火災を予防する対応策として、基本を紹介した後に部屋別に説明します。

【基本】トラッキング火災の予防・対応策

・こまめに掃除する(掃除をするときは電源プラグを抜き、乾いた布で掃除する)
・タコ足配線をしない
・コンセントの許容値以下で使用する(コンセントの定格は15Aが一般的)
・使用していないコンセントはキャップでフタをする
・古い電源コードや電源タップは定期的に交換する
・電源コードを束ねて使用しない
・使用していない機器は電源を切る

大切なところなので、写真で製品の一例を示しながら補足説明します。
まず「使用していないコンセントはキャップでフタをする」ことについて。
コンセントを塞ぐための専用のキャップが市販されています。

コンセントに乳幼児らが異物を挿入するのを防ぐためのグッズですが、使用していないコンセントにホコリがたまることも防止できるため、トラッキング火災防止に役立ちます。また、キャップをすることでコンセント内部の金属劣化を防ぐ効果も期待できます。

「使用していない機器は電源を切る」については、電源タップにON/OFFできるスイッチ付きの製品があります。

機器を使用していなくても、電源プラグをさしているとトラッキング火災が起こる可能性があります。電源タップのスイッチをOFFにすることで、コンセントの根元から電力供給を停止し、トラッキング火災を防止できます。
ただしコンセントのスイッチをOFFにしてもホコリがたまっては意味がありません。日常使用しない機器なら電源プラグを抜いて、こまめに掃除したりキャップでフタをしたりするなどして、ホコリがたまらないようにしてください。

続いて、キッチンやリビングなど部屋別に注意したい点です。

【部屋別】キッチン

・ぬれた手で電源プラグやコンセントに触らない
・電子レンジや電気ポットなど消費電力の大きい機器はコンセントを分けて使用する
・冷蔵庫や電子レンジなど長い間電源プラグをさしている箇所で、掃除のし忘れがないか確認する

【部屋別】リビング

・テレビやソファの裏など手が届きにくい場所で掃除のし忘れがないか確認する
・テレビ台やソファなどで電源コードが下敷きになっていないか確認する

【部屋別】寝室

・ベッドの下などホコリがたまりやすい場所を掃除する
・コンセントや電源コードの上に布団を敷かないようにする

【部屋別】洗面所

・ぬれた手で電源プラグやコンセントに触らない
・洗面所のコンセントは定格の範囲内で使用する

そもそも電源タップの正しい使い方は?どう使うのが適切?

最後に、電源タップの正しい使い方についても紹介します。
特段意識しないまま使っていることと思いますが、トラッキング火災だけでなくその他の事故を防ぐためにも、いま一度正しい使い方を確認しておきましょう。

1.ホコリが付いた状態で使用しない
トラッキング火災を防ぐため、ホコリがたまらないように掃除を心がけましょう。掃除方法は、電源プラグを抜いて乾いた布でホコリを取り除きます。

2.消費電力は定格の範囲内で使用する
コンセントの定格は一般的に15Aです。A(アンペア)は電流のことです。
使用する機器の電流の合計値が、15Aを超えないように使用しましょう。

ちなみに機器の消費電力は、W(ワット)で記載するのが一般的です。電力とは、電流と電圧を掛け算した値です(電力(W)=電流(A)×電圧(V))。
日本の電圧は100Vなので、つまり消費電力を100で割った値が電流となります。例えば500Wの機器であれば5Aになります。

3.コードを束ねて使用しない
コードを束ねて使用すると、放熱されずにコードが高温になり、コードの周りの保護材が溶けて火事の原因となります。コードは束ねずに真っすぐ伸ばして使用することをお勧めします。

4.傷ついたコードは使用しない
傷ついたコードは内部の電線が断線している可能性があります。電線が断線しているとコードが高温になる可能性があり危険です。
なお、電源タップの交換目安は3~5年と言われています。古いものは劣化している可能性があります。

5.コードの上に物を乗せない
電源コードの上に重い物を乗せると、中の電線が押しつぶされて電流がたくさん流れるようになり、コードが高温になります。そうなると、放熱もされなくなって火災の原因となります。コードの上には物を置かないようにしましょう。

まとめ

繰り返しになりますが、ホコリが湿気を帯びることで電流が流れて火事となるのが、トラッキング火災です。電源プラグの周辺をこまめに掃除してホコリを取り除けば、防げます。トラッキング火災が多くなる梅雨の時期には、電源プラグの周辺を掃除し、電源プラグを正しく使って火事を防ぎましょう。

〈執筆者プロフィル〉
芦ヶ谷宏樹
電気設計エンジニア/電気ライター

電気設計エンジニアとして従事しながら、電気や製造業に関する記事を執筆。
身近な存在でありながら実はよく知らない電気について、誰にでも分かりやすい記事を書くよう心がけています。

無断転載禁止

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