7月に気をつけたい防災キーワード「線状降水帯」!


7月は梅雨末期の集中豪雨が起こりやすく、1年の中でも特に大雨災害が発生しやすい月です。
そんな7月に気をつけたい防災キーワードがこちら!

「線状降水帯(せんじょうこうすいたい)」

「線状降水帯」は2014年に発生した「広島豪雨」の頃から使われるようになった気象用語で、梅雨の集中豪雨には、この線状降水帯が必ずといっていいほど関係しています。新たに気象庁や気象会社が線状降水帯に関する情報提供の運用を始めるなど、今、特に注目を集めているキーワードです。「ニュースで聞いたことがある」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

梅雨末期の集中豪雨に備えるためにも、ここで線状降水帯について正しく理解しておきましょう。

「線状降水帯」とは

線状降水帯とは、幅20~50km程度、長さ50~300km程度の線状に伸びる、発達した雨雲群の名称です。

実例を見てみましょう。下の画像は、2018年7月6日の九州・中国地方の雨雲の様子です。

(出典:気象庁―「線状降水帯に関する情報について」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/shingikai/kentoukai/tsutaekata/part9/tsutaekata9_shiryou_2.pdf

赤や紫の発達した雨雲が線状になっているのが分かりますね。この線状になっている降水帯を「線状降水帯」と呼んでいます。
同じ場所に次々と発達した雨雲がかかり続けるため、狭い範囲で集中豪雨になります。「平成30年7月西日本豪雨」や「令和2年熊本豪雨」も、こういった線状降水帯がもたらしました。

なぜ、線状降水帯が発生するのでしょうか?

先ほどの画像と同じ、2018年7月6日の天気図をご覧ください。

(出典:気象庁―「各種データ・資料」―「過去の天気図」―「日々の天気図(20年7月)」http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/hibiten/2018/1807.pdf

線状降水帯があるところに、線状に伸びる梅雨前線がかかっているのが確認できると思います。梅雨前線が活発になり、梅雨前線に沿って雨雲がどんどん発達するため、特徴的な線状の降水帯が作られます。
つまり、線状降水帯は梅雨前線によって作り出されるわけです。

梅雨の集中豪雨に線状降水帯が深く関わっていることから、2021年6月17日から、線状降水帯が発生したとみられる場合に気象庁が注意情報を発表するようになりました。また、2022年の梅雨の時期をめどに、線状降水帯が発生する半日前に予報を始める予定で準備が進められています。

線状降水帯には、どんな危険性があるの?

線状降水帯の怖いところは、梅雨前線の位置が少し変わるだけで、大雨が降る場所もそれと連動して変わっていくことです。

この画像は、2020年7月4日の雨雲の様子です。

(出典:気象庁―「線状降水帯に関する情報について」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/shingikai/kentoukai/tsutaekata/part9/tsutaekata9_shiryou_2.pdf

線状降水帯が発生し、熊本、宮崎、鹿児島3県の一部で大雨になっているのが分かります。でも、その一方で、近くの鹿児島県の中心部、熊本県の北部、大分県の南部では、まったく雨が降っていません。

広範囲に大雨をもたらす台風や低気圧の場合、位置が少々、変わっても大雨のポイントが大きくずれることはないため、天気予報を見ていれば、事前に大雨への備えができます。
しかし、幅の狭い梅雨前線(線状降水帯)の位置を的確に予想することは、残念ながら困難です。前線の場所が予想より少し変わるだけで、「予報では大雨だったのに晴れている」「晴れの予想だったのに大雨になっている」といったこともあります。
つまり、狭い範囲に大雨をもたらす線状降水帯は、台風や低気圧に比べて、天気予報が外れやすく、大雨への備えが遅れやすい危険性があるのです。

また、梅雨前線が停滞すると、1日以上にわたって線状降水帯による大雨が続くこともあり、その結果、過去に経験したことがないような雨量を記録したり、それに伴う大規模災害が発生したりします。

梅雨前線は梅雨明けまで日本付近をウロウロするので、そのうちに移動してしまう低気圧や台風とは異なり、「雨の終わり」が見えない怖さもあります。

線状降水帯による被害を避けるには?

線状降水帯に関する情報は、2021年6月から運用が始まった「顕著な大雨に関する情報」で把握できます。「線状降水帯」という言葉は使われていませんが、線状降水帯の発生が確認された場合に発表される情報です。

もし、線状降水帯が自分の住んでいるエリアにかかっていない場合でも、その近くにある場合、前線が移動することで自分の住むエリアも大雨になる可能性があります。いつでも避難できるように準備しておきましょう。
また、線状降水帯の発生が発表されていなくても、天気予報などで線状の発達した雨雲が確認できるときは、以降の雨雲の動きに注意してください。

気象警報や注意報を把握する

線状降水帯によって大雨が降り始めると、以下の段階で気象情報や注意報・警報が発令されます。

(1)大雨注意報、洪水注意報
ハザードマップを確認して避難行動の確認を行う目安
(2)大雨警報、洪水警報
高齢者は危険な場所から避難をする目安
(3)土砂災害警戒情報
危険な場所から避難をする目安
(4)大雨特別警報
災害が発生し、または切迫していることを表す目安。直ちに身の安全を確保する

また、気象庁のキキクル(危険度分布)(http://www.jma.go.jp/bosai/risk/#elements:flood/)で、土砂災害や浸水の危険性があるエリアを把握できます。

線状降水帯が発生したら、上記の気象情報も活用しながら、状況の把握と避難準備を行いましょう。

<執筆者プロフィル>
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士

田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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