【気象予報士が解説】「防災の日」に考えよう。関東大震災とわが家の防災

関東大震災は火災による犠牲者が多かった

ここからは関東大震災を詳しくみていきましょう。「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書」(内閣府 2006年7月)を参考にしています。
1923年9月1日午前11時58分ごろ、相模湾の海溝沿いのプレート境界で発生し、最大震度7を観測しました。
震源に近かった神奈川県西部の山間部では大規模な山崩れや土石流が発生し、沿岸部では津波被害が発生しました。また都市部では、地震の揺れによって多くの建物が倒壊する被害が出ました。

関東大震災では約10万5000人が亡くなりましたが、死因の多くは火災です。土砂災害でも建物の倒壊でもないのです。

火災が発生した理由は、地震発生が昼食どきだったこともあり、建物が倒壊した際に調理用の火が燃え広がったことが一因です。
さらにこの日は、能登半島の近くに台風があり、関東地方では強い南風が吹いていたことも火災の規模を拡大させた要因になっています。台風がその後、東に進んだことで、風向きは西から北へと変わりました。短時間のうちに風向きが大きく変化したことも、火災が広範囲に及んだ要因の1つです。

東京都墨田区横網では、巨大な火災旋風が発生し、避難のために集まっていた数万人の命が失われることになりました。


多くの人がなくなった墨田区横網の都立横網町公園にある「東京都慰霊堂」画像:PIXTA

関東大震災による死者・行方不明者数は10万5385人に上りますが、このうち9万1781人が火災によって命を落としています。

関東大震災は、大きな地震による直接的な被害だけでなく、台風の影響による強風が吹いていたこと、風向が変わったことなど、火災が起こりやすい気象条件がそろっていたことで被害が拡大しました。
地震の被害に、建物の倒壊や津波、土砂災害などをイメージする方が多いと思いますが、大規模火災も非常に怖い地震災害です。

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