【気象予報士が解説】「南岸低気圧」の仕組みと防災のポイント

南岸低気圧で注意すべき災害

南岸低気圧では太平洋側の平野部に大雪をもたらすことから、以下の災害に注意が必要です。

・積雪や路面凍結による交通障害や事故
・大雪による視程障害(空気中の雪によって景色が見えにくくなること)
・雪道を歩行することによる転倒

南岸低気圧は0℃前後で雪が降ることから、水分を多く含んだ湿った雪になりやすい特徴があります。そのため、以下のような着雪害(雪が物体に付着することによる災害)も発生します。

・着雪した送電線が断線することによる停電
・着雪した樹木が折れる被害

また、南岸低気圧が発達する場合は、暴風・暴風雪・高波などの災害に警戒が必要です。

南岸低気圧に備えるためには

南岸低気圧に備えるために、まずは雨か雪が予想されているなら雪が降ることを前提に行動することです。
次に大雪・暴風、暴風雪・高波の警報・注意報の可能性を把握しておきましょう。気象庁の各地域の「早期注意情報」から警報・注意報の可能性を知ることができます。

期間中に大雪警報・暴風警報・暴風雪警報・波浪警報が「中」または「高」と表示されているときは、早めに用事を済ませて、南岸低気圧接近時は「外出を控える」「運転は控える」などの対策をしましょう。

雪が降り出したら気象庁の「今後の雪」でリアルタイムの積雪情報をチェックしてください。

南岸低気圧による太平洋側の積雪は、日本海側の積雪に比べると期間は短く一時的です。それでも被害が大きくなりやすいのは、雪の頻度が少ないことからチェーンを持っていない車が多く立ち往生しやすいことや、雪道や凍結路面に慣れていない歩行者の転倒などが増えるためです。

積雪しているところには近づかないようにし、車の運転が必要な場合は、積雪が少ない道を通りましょう。天候にかかわらず運転や外出をしなければならないという方は、必ず対策をしてください。

<執筆者プロフィル>
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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