「揺れたその瞬間に死なない」が何より大切| 木原実 日本テレビお天気キャスター③

歴史から学ぶべき教訓、繰り返し伝えていく使命

自然災害では、想定外の被害が起きるのが常です。東日本大震災の前にも、東北地方では、100年ごとに地震による大きな津波の被害がありました。869年の貞観地震の際には、東日本大震災と同レベルの津波が襲っていました。実際、被害に遭った地域では、その時の津波の被害から「ここより下に家をつくるべからず」と伝える先祖の教訓も残っていました。ただ、東日本大震災では、この教訓がけっして生かされていたとはいえない津波による甚大な被害が出てしまいました。

日本三大祭りの一つ祇園祭は、平安時代に流行した疫病をおさめるためだけではなく、貞観地震や津波、富士山の噴火など当時、頻発した自然災害を減らすことを願って始まったとされる説もあります。現在、祇園祭と地震や津波を結びつけて考える人は少ないでしょう。こうした地震による被害について、「防災の日」になっている関東大震災をはじめ、東日本大震災や阪神淡路大震災が発生した日に、起こったことを思い出して次の世代に伝えていかなければならないと思います。

阪神淡路大震災の被災地は、都市部が多く、東京と似たような住宅地が多くあります。阪神淡路大震災で、どうして人が命を失ってしまったのか。勉強して同じことを繰り返さないようにできることをしていきたいです。家が丈夫でも家具の下敷きになって逃げ出すことができなくなる場合もあります。家具の固定と耐震補強をした場合は、被害をここまで減らせる、という試算も出ています。地震で死なないための知恵、被害を減らすことを繰り返し伝えていきたいです。

④視聴者の「耳」に訴えるお天気キャスター

<プロフィル>
木原 実(きはら みのる)
日本テレビお天気キャスター・気象予報士・防災士
日本大学芸術学部演劇学科卒業。1986年から日本テレビでお天気キャスターを務め、現在は「news every.」(日本テレビ)で、キャラクターの「そらジロー」とお天気コーナーを担当する。1995年に気象予報士、2004年に防災士の資格を取得。日本防災士会常任理事をはじめ、2011年には内閣府「災害被害を軽減する国民運動サポーター」に就任した。このほかナレーターや声優、舞台俳優としても活動している。

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