日本は多くの自然災害が発生し、どこに住んでいても災害リスクから逃れることはできません。そのため、日ごろから避難時に備えておく必要がありますが、防災用品は数が多くすべてをそろえているとキリがありません。
そこでこの記事では避難時になくて困るものとあると便利なものを紹介していきます。
避難時に慌てないためにも早めに備えよう
災害が発生して自宅に居られなくなると、その直後から避難所での生活が始まります。
避難所生活が始まってから必要なものを手に入れようと思っても、お店やスーパーが閉店している可能性もあります。大規模災害になると支援が遅れ、生活に必要な物資がすぐに届かないこともあります。
避難時に慌てないためにも日ごろから最低限必要なものを用意して備えておきましょう。ただし、あれもこれもとそろえると大変なので、厳選して用意する必要があります。
避難時になくて困るものとは
最初に避難時になくて困るものを紹介します。すでに防災用品や非常持ち出し袋を用意している!という方も、足りないものがないか確認してください。
生活用品
避難所生活を送る上で欠かせないのが生活用品です。
特に充電器、モバイルバッテリー、サバイバルシート、使い捨てカイロなどは情報収集や寒さ対策をする上で重要です。
<充電器、モバイルバッテリー>
避難生活においてスマートフォンは情報収集のため必須です。避難所であれば電気が使える可能性が高いので、スマホを充電するための充電器やモバイルバッテリーを用意しておきましょう。
<寒さ対策に使えるサバイバルシートや使い捨てカイロ>
暑さは薄着で対応できますが、寒さ対策は我慢するのに限界があります。厳冬期だとせっかく災害から逃れられても凍死のリスクもあります。コンパクトで持ち運びができて保温性があるサバイバルシートや使い捨てカイロなどを用意しておきましょう。
飲料・食料品
生きるために必要な食料や飲料ですが、たくさん用意してもすべて持ち出せるとは限りません。3日分程度を目安に持ち出せるように準備しておきましょう。
<おすすめの食料>
- レトルト食品
- インスタントラーメン
- 飴やチョコレートなどのお菓子
- 缶詰
- 水(3日分)
割りばしや紙コップ、紙皿などの使い捨てができる食器も用意しておくと家族で分けるときに便利です。
衛生用品
避難所でなくて困る!という声の中でも特に多いのが衛生用品です。
特に重要性が高い以下の衛生用品は、事前に非常持ち出し袋や防災リュックなどに入れておくことをお勧めします。
<なくては困る衛生用品>
- 生理用品
- ウェットティッシュ、ボディーシート
- 簡易トイレ(携帯トイレ)
- マスク(防寒用としても使える)
- 消毒液
- 医薬品
- 歯ブラシ
トイレは断水してしまうと水が流せなくなります。箱形の組み立てトイレ(簡易トイレまたは携帯トイレ)を使用すれば便座がなくても座って用を足すことができます。
避難時にあると便利なもの
避難所では自宅での生活に比べて不便なことが多く、避難生活が長くなればなるほどストレスも大きくなります。そんなときにあると便利なものを紹介します。
日用品
あると便利な日用品は以下の3つです。
<ラップ>
災害時は紙皿を使用するケースが多いですが、避難生活が長くなると紙皿が足りなくなります。そんなとき、ラップを貼れば何度でも紙皿を使うことができます。ラップは傷の応急処置にも役立ち、包帯や三角巾として使うことも可能です。また、体に巻いて防寒対策ができるなど、いろいろなシーンで役立ちます。
<風呂敷>
風呂敷は物を包んだり、運んだりするだけでなく、授乳ケープ・頭巾・マスク・避難所の仕切り布など、さまざまな用途に使うことができます。軽くて場所も取らないので、備えておきましょう。
<ブルーシート>
ブルーシートは敷物として使えるだけでなく、汚れ防止や防寒対策としても使えます。つるして使えば風よけにもなり、避難所の仕切りとしても活用できます。防水効果もあるので、傘代わりに使用することもできます。
長期避難用
長期避難に役立つのが以下のようなキャンプ・アウトドアセットです。
- テント
- 寝袋
- バーベキューセット
- カセットコンロ
テントについては避難所内で使用すると、それだけで周囲の視線が遮断できます。バーベキューセットやカセットコンロは、食材が手に入るようになって料理をするときに役立ちます。
これらの用品はキャンプやバーベキューなどにも使えるので、一式そろえておくと便利です。
普段から心がけたいこと
防災用品を普段から備えることは大切ですが、防災用品の置き場所や賞味期限のある防災用品の扱いなど普段から注意すべきこともあります。
そこで災害時に備えて普段から心がけたい3つのポイントを紹介します。
ガソリンは満タンにしておく
災害が発生するとガソリンスタンドに車の長蛇の列ができて、場合によってはガソリンスタンドが使えなくなります。災害時の車は物や人を運ぶだけでなく、冷暖房や電源としての使用もできるのでガソリンは欠かせません。
普段からガソリンは満タンにするように心がけて、ガソリンが半分~3/4ほどに減ったら満タンにしましょう。災害に巻き込まれたときに車が使えるのは心強いので、面倒でもこまめな給油をおすすめします。
防災用品の置き場所に気を付ける
せっかく防災用品をそろえても、地震や土砂災害で家が倒壊して取り出せなくなってしまっては意味がありません。防災用品の置き場所にも注意が必要です。
すぐに取り出せる以下のような場所に保管しておくのがお勧めです。
- 玄関先
- 靴箱などの玄関先収納
- 車庫
- ガレージ
- 屋外物置
また家の近くに山があるなら「土砂災害の影響がもっとも少ない、山から一番遠い場所に保管」、地震の発生なら家具の散乱で防災用品が取り出せないのを防ぐために「ものをたくさん置いていない場所に保管」なども考慮して防災用品の置き場所を決めましょう。
飲食品はローリングストックしながら多めに備蓄しておく
賞味期限がある飲食品は、ローリングストックで備えるのがお勧めです。
ローリングストックとは普段から多めに食料品を買っておいて、日常の中で消費して使った分だけ買い足していく方法です。ローリングストックをすることで、常に一定量の食料を家に備蓄できるメリットがあります。ローリングストックを行う場合は賞味期限の順番に並べて、必ず古いものから使うようにしましょう。
■まとめ
防災用品を買って備えることは大切ですが、すべてを避難所に持参できるとは限りません。避難する際にはなくて困るものを優先的に持っていき、次にあると便利なものを持っていくなど優先順位をつけておきましょう。
食料品についてはローリングストック法を活用し、防災用品は取り出しやすい場所に置いておくことも大切です。いつ起こるか分からない災害に備えるために、今一度防災用品を見直しましょう。
避難時持ち物チェックリスト
- モバイルバッテリー
- サバイバルシートもしくは使い捨てカイロ(防寒)
- 3日分の食料
- 生理用品
- ウェットティッシュ、ボディーシート
- 簡易トイレ
- マスク
- 消毒液
- 医薬品(常備薬など)
- 歯ブラシ
- ラップ
- 風呂敷
- ブルーシート
- アウトドアグッズ(あれば)
<執筆者プロフィル>
田頭孝志(たがしらたかし)
防災アドバイザー/気象予報士 田頭気象予報士事務所
愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数 ・防災マニュアルの作成に参画。
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