災害の備えとして「防災ポーチ」が推奨されています。外出先で災害に遭遇した場合、家や避難所など安全な場所に移動するために必要なものを専用ポーチに入れて携帯するのです。自宅などに非常持ち出し袋を用意しておくのは「1次の備え」、そして外出時の対策は「0次の備え」とされています。防災ポーチを持ち歩くことで災害発生時によくある困りごとに対応できます。この記事では、お薦めの防災ポーチと中に入れるべきアイテムをご紹介します。
防災ポーチを選ぶ際、大きさや素材は?
防災ポーチを選ぶ際のポイントは、次の5つです。
①耐久性が高い(防水機能付きだとなおよい)
②軽い
③バッグの中でかさばらない
④必要なグッズがすべて入る
⑤ポーチの中身が確認しやすい
①耐久性が高い
表面に汚れや傷、破れが生じやすい素材は避け、丈夫な素材を選ぶのがお薦めです。
また、防水機能が付いたものだとさらに安心です。急な雨やバッグの中に飲み物がこぼれるなどでポーチの中身がぬれてしまうリスクを避けるためです。水害に遭遇してもポーチの中身を守ることができます。
②軽い
軽いものを選びましょう。目安は150g以内です。特に通勤や子育て中などの場合、荷物は重くなりがちです。ポーチの中身と合わせ、重くても500g以内(500mLのペットボトル1本分程度)、できれば200~300gまでに収まるようにしましょう。
③バッグの中でかさばらない
バッグの中で邪魔にならない形状であることも大切です。薄型のバッグをよく使う場合は、なるべくマチ(厚み)が狭いものを選びましょう。マチが広いリュックなどをよく使うなら、マチが広くてもよいでしょう。
マチの大きさにもよりますが、単行本サイズ(B6判:128×182mm)までなら、たいていの普段使いのバッグに入れておくことができます。
④必要なグッズがすべて入る
軽さや邪魔にならない形状であっても、必要なものを収納できないと活用できません。すっきりした見た目でも、収納力が高い機能的なポーチもあります。選ぶときは収納力もチェックするようにしましょう。
⑤ポーチの中身が確認しやすい
開けたときに、何がどこにあるかが見てすぐにわかる要素も重要です。緊急時に即座に対応できます。開口部が大きいタイプや内部にメッシュや透明素材の内ポケットがあるタイプが便利です。抵抗がなければ外側から中が見えるスケルトンタイプもよいでしょう。
女性におすすめの防災ポーチ
とにかく薄さや軽さにこだわりたい場合にお薦めします。
・[CHUMS]エコフラットポーチM(A5)
強度と耐久性のある素材で、マチが狭く重さが40gと軽いのが特徴です。表面がメッシュになっているので、外側から中身を確認できます。個性的な柄を選べば、自分のポーチだとわかりやすく便利です。
機能的な化粧ポーチは防災ポーチとしても使いやすいでしょう。
・[ウレギッシュ]メイクポーチ
幅160×高さ100×奥行60mmと小型ですが収納力が高く、内ポケットが4つ付いています。ビジネスシーンでも取り出しやすいシンプルな見た目です。
男性にお薦めの防災ポーチ
マチが狭いビジネスバッグを使うことが多い人向けです。
・[サンワダイレクト]ガジェットポーチ(モバイルバッテリー・Wi-Fiルーター・パスポート・iPhone・ケーブル収納・Mサイズ)
ポーチの口が3辺あっていずれも広げられるため、中身をひと目で確認できます。また内部に充電機器やモバイルバッテリーなどを収納しやすいメッシュポケットがあり、普段の仕事に兼用することもできそうです。
リュックを使うことが多い場合、マチが広いタイプもお薦めです。
・[LENTION]小物収納ポーチ
収納スペースが広く、大きさを気にせず収納できます。表面に耐久性撥水(はっすい)加工が施されているため、汚れや水に強く災害時に安心できます。
持ち歩く際の必須アイテムは?
ここからは、ポーチのなかに入れて携帯すべきアイテムを紹介していきます。どんな人にも役立つ必須アイテムは次の17個です。
〇モバイルバッテリー
〇身分証明書
〇筆記用具・メモ帳
〇小銭(公衆電話用の10円玉など)
〇家族の写真
〇マスク
〇ばんそうこう
〇目薬
〇ウェットティッシュ
〇汗拭きシート
〇大判のハンカチ
〇飴、ゼリー飲料などの保存期間が長い食べ物
〇レジ袋
〇冷感タオル(夏用)や使い捨てカイロ(冬用)
〇携帯トイレ
〇防犯ブザーや笛
〇小型ライト
これらに加え、女性は生理用品を、髪が長い場合、ピンとゴムも加えておくとよいでしょう。家に常備しておく防災用品や避難時に持っていく非常持ち出し袋を準備している方は多いことでしょうが、それとは別に自分や家族用に防災ポーチを整え、用意しておきましょう。
参考:東京都総務局総合防災部防災管理課「東京くらし防災」p.24
プラスαの防災ポーチ用アイテムは?
次に、プラスαのアイテムを紹介します。防災ポーチに入れるものは、本人の体質や環境などによっても異なります。「もし自分が災害に遭ったら?」と具体的に想像し、ほかにも必要なものがあれば持ち歩くようにしましょう。
- 常備薬があったり、薬を服用していたりする場合:数日分の薬とお薬手帳
- 水害が多い地域に住んでいる場合:完全防水機能のポーチでぬれると困る電子機器類や紙類を防水できる袋に入れる
- 寒冷地に住んでいる場合:体温低下を防ぐエマージェンシーシートがあると重宝する。特に子どもが小さい場合は冬の時期だけでも持ち歩くとよい
防災ポーチは「実用的なお守り」
0次の備えとして、防災ポーチについて紹介しました。防災ポーチは災害時に活用できるだけでなく、「これがあれば大丈夫」と日々の暮らしを振り返り、安心感を高めることにもつながります。防災ポーチを「実用的なお守り」として、外出する際は持ち歩くようにしてください。
<執筆者プロフィル>
高橋なつき
フリーランスのライター/編集者
大学卒業後、出版社で産業保健・ヘルスケアの専門誌の編集を担当し、現職。食生活アドバイザー2級取得。得意ジャンルはヘルスケアとライフスタイル。
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