ソフトバンクなど開発 災害時ドローンを携帯基地局に

通信システム2021年春の実用化目指す

ソフトバンクと東京工業大などのチームは、携帯電話の基地局が災害で被災した際、基地局の機能を持つ装置を搭載したドローンを飛ばして通信を可能にするシステムを開発した。「空飛ぶ基地局」の有効性を実験で確認しており、2021年春の実用化を目指す。災害時の情報通信の弱点を補う新たなシステムとして期待される。

東日本大震災では2万9000か所被災

災害時の通信は、固定電話約30万回線が不通になった阪神大震災(1995年)で問題となった。携帯電話が普及した後も、東日本大震災(2011年)で約2万9000か所、西日本豪雨(2018年)で約1000か所の基地局が被災するなど、災害時の安定した通信が課題だった。

チームは、空中に基地局があれば、災害時も電波を送受信できると考えた。2016年の熊本地震では、電波を送受信する無線中継装置を気球に搭載したが、準備に半日程度かかり、初動時に活用できなかった。その後、ドローンに着目し、小型の部品を使うなどして装置を軽量化した。

1台で2000人同時通話 50時間連続通信も

新システムでは、無線中継装置(親機)を積んだ車を、被災した基地局周辺に近づけた後、軽量化した装置(子機)をドローンで飛ばし、通信環境を整える。装置1台で最大2000人が同時に通話できるという。

■ドローンを使った通信システムの仕組み

① 無線中継装置(親機)を備えた車で被災地に近づく
② 子機を搭載したドローンを飛ばす
③ 半径5km以内で通話可能

2020年8月に千葉県内で行った実証実験では、ドローンを上空約100mで停留飛行させた状態で、半径5kmの範囲で通話できることを確認した。長時間飛行するために高電圧の電源装置も開発。ドローンにケーブルをつないで給電すれば、50時間連続して通信可能という。

安否確認や救助連絡にも活用期待

研究の一部は電波を有効利用する総務省の事業にも採択され、支援を受ける。東工大の藤井輝也特任教授(無線通信)は「混乱する状況で通信が可能になれば、被災者に安心を与える。安否確認や救助の連絡にも役立てられる」と話す。

東北大の西山大樹(ひろき)教授(通信方式)の話
現状では対象はソフトバンクの携帯電話のみだが、将来は他社の携帯でも普及する可能性があり、災害時の通信の維持に欠かせないシステムになるだろう。

(読売新聞 2021年1月14日掲載)

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