自動車・電機業界 BCP対応で部品供給網強化進む

写真説明:半導体大手ルネサスエレクトロニクスの那珂工場(茨城県)は東日本大震災で被災し、約3か月後に生産を再開した(2011年6月10日)

東日本大震災でサプライチェーンの課題に直面

自動車や電機メーカーは、東日本大震災で長期の生産停止に追い込まれたことを教訓に、サプライチェーン(部品供給網)の強化に取り組んだ。足元で起きた課題への対応にも一定の成果を上げている。

半導体大手の供給が止まり復旧まで3か月かかった

〈半導体大手ルネサスエレクトロニクスの那珂工場(茨城県)が被災し、復旧まで3か月を要した。当時、自動車の電子制御などに使う半導体「マイコン」の世界シェア(市場占有率)が約4割あったルネサスから供給が止まった。世界の自動車大手が生産の一時停止や減産に追い込まれた〉

トヨタ  → 仕入れ先・部品のデータベース作成

「この10年で(部品供給網は)ずいぶんと強くなった」

トヨタ自動車の豊田章男社長は震災から10年を前にした2021年3月4日、報道陣にこう強調した。豊田社長はこの日、「トヨタ自動車東日本」(TMEJ)の宮城大衡工場(宮城県)などを視察した(=写真)。

写真説明:工場を視察するトヨタ自動車の豊田章男社長(左)

自動車の生産は、1台に約3万点とされる部品が一つでも届かないと滞る。震災当時はどの部品がどれほど不足するのかを把握するのに数週間かかった。

トヨタは震災後、部品メーカーのデータベース「レスキュー」を作り上げた。直接の取引先(1次)だけでなく、その先の取引先(2次)とたどって最大10次程度まで、約40万点の部品を登録している。取引先の稼働状況を素早く把握し、数日で代わりの取引先を見つけられるようになった。

供給網の強化は、現在の世界的な半導体不足への対応にも生きている。世界の自動車大手が相次ぎ大幅な減産を余儀なくされる中、トヨタは中国など一部工場での減産にとどめている。昨春、新型コロナウイルスの感染拡大で従業員が出勤できず世界各地の部品メーカーが生産できなくなった際も、影響を比較的抑えた。足元の好調な業績にもつながっている。

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