東京メトロ・山村明義社長が語るウィズコロナ時代の経営

コロナ禍は首都圏の「通勤の足」にも打撃を与えた

コロナ禍によるテレワーク普及などで、通勤の足となってきた鉄道会社も打撃を受けている。都内を中心に9路線180駅を運営する東京メトロ(東京都台東区)の山村明義社長(=写真)に、ウィズコロナ時代の経営について聞いた。

民営化後初めての赤字を出した

2020年4月から12月期の連結決算は、2004年の民営化後初の最終赤字となりました。以前の東西線の通勤ラッシュ時の混雑率は全国最高の199%でしたが、現在は120%程度。利用減少で列車の遅延がほぼなくなり、駅構内の警備員らも混雑状況に応じて配置を見直しています。

外部環境の変化にAIで新しい施策も

社会は一斉に出勤・帰宅する集中型から分散型に変わっていくと思います。今は働き方の時間と場所を選べる時代。テレワークを始めとする利用者の行動変容で、コロナが収束しても、利用者は8割から9割程度にとどまるとみています。ただ、鉄道のダイヤが社会のリズムを作っていることは変わりません。安心して乗車してもらうことが鉄道会社の使命ですから、この1年は徹底した感染防止対策を講じてきました。

東京メトロの車両では、2か所の窓を約10cm開け、空調を併用して8分で全ての空気が入れ替わります。カメラとAI(人工知能)で車内を分析し、スマホアプリで利用者に即時に混雑状況を伝えるシステムもメーカーと共同開発しました。東西線などでは、ピーク時の乗車を避けるとポイントがもらえるサービスを行っています。

写真説明:東京メトロの車両の抗ウイルス・抗菌材噴霧作業(2020年7月9日、東京都足立区で)

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