南海トラフ対応 徳島・板野町の道の駅はこんなにすごい

「いたの」全景

(画像はいずれも徳島県板野町提供)

南海トラフ地震時には防災拠点に

徳島県の北東部に道の駅「いたの」が2021年4月1日、オープンしました。全国に約1200ある道の駅と同様、ドライブ途中の休憩所や特産物直売所ですが、災害時に防災拠点となるのが特徴です。想定されているのは、南海トラフ巨大地震です。この記事では災害発生時にこの道の駅がどのように活用されるのかを中心に紹介します。

津波の想定区域外でインターチェンジも近い

 「いたの」の敷地面積は約4万2000㎡で、駐車場は大型車や身体障害者用などを含め326台分あります。南海トラフ地震を想定していますから、「いたの」がある場所は、南海トラフ地震の被害想定で津波の浸水想定区域外です。そして、高松自動車道板野インターチェンジ(IC)や徳島自動車道藍住ICから、ともに車で約3分の県道沿いにあります。県と町が約31億1200万円をかけて整備しました。

◆「いたの」へのアクセス
いたのへのアクセス

「いたの」の駐車場エリア

写真説明:「いたの」の駐車場エリア

敷地面積の2割8400㎡がヘリポートを備えた防災エリア

災害用の「防災区域」は、広さが全敷地面積の2割にあたる約8400㎡。メインとなる特産物直売所などの「地域振興施設」や高速バスなどの停留所がある「バス停留区域」と並び、常設で備わっています。

防災区域には、避難所兼備蓄倉庫の「防災ステーション」、防災ヘリやドクターヘリが発着できる広さ1900㎡のヘリポート、地下埋設型の耐震性貯水槽などがあります。

「いたの」全景

写真説明:「いたの」の全景。ヘリポートを備えた「防災区域」(左赤枠)が常設されている

1万8000食の備蓄に90人の寝泊まり場所

避難所兼備蓄倉庫の「防災ステーション」(=下写真)は鉄骨平屋建てで、延べ床面積は624㎡です。

防災ステーション

居住スペース(=下写真)や調理室、シャワー室、救護室、公衆電話などがあり、約90人が寝泊まりできるそうです。

居住スペース

備蓄倉庫(=下写真)には、アルファ米やパンなど約1万8000食分の非常食のほか、飲料水は2L150本、500ml約8000本などを保管しています。

備蓄倉庫

屋外には、排せつ物を下水道管に流すことができる災害用トイレを設置するためのマンホール(=下写真)や、非常用発電装置もあります。

マンホール

「いたの」は、災害時には、板野町や近隣自治体の電気や通信機能復旧のための作業員や作業車の待機場としても活用されます。こうしたことから、町は、広域的な防災拠点機能を持つ道の駅として国が認める「防災道の駅」の認定取得も目指しています。

防災エリア外には足湯やドッグランも

災害時以外のメインの設備、施設ももちろん充実しています。板野町は上述の通り徳島県北東部にある人口約1万3300人(2021年4月)の町です。周辺には、大型公園の「あすたむらんど徳島」や、四国八十八か所霊場の金泉寺、大日寺、地蔵寺があり、「いたの」には地域振興が期待されています。

特産物直売所(=下写真)には、特産であるニンジンやレンコンなどの野菜や加工品などが並びます。レストランでは、地元野菜と徳島県の海の幸を楽しめる海鮮丼などを味わうことができます。

特産物直売所

天然の温泉水を用いた「足湯」(=下写真)は、特に高齢者や女性に喜ばれそうです。

足湯

犬と一緒にドライブする愛犬家向けには「ドッグラン」(=下写真)があります。こうした場所で存分に走れば、その後のドライブは快適に過ごせますね。

ドッグラン

さらに、次世代エネルギーへの対応も進んでいます。2021年11月には、燃料電池自動車(FCV)の燃料を補給するための移動式水素ステーションを併設する予定です。

いたの全景2

写真説明:「いたの」全景

道の駅は防災拠点に向いている

道の駅を防災拠点にする動きは、全国で広がっています。幹線道路沿いにあり、広い駐車スペースがあるなどの特性が、防災拠点に向いているのです。

もともと道の駅は、休憩場所や物販、飲食、地域の観光情報発信などを目的とした道路沿いの施設を言います。1991年に山口県で始まったとされ、24時間使えるトイレや駐車場の整備、観光や道路の情報提供などがあれば、国に「道の駅」として登録することができます。2020年7月現在での登録数は全国1180か所。年間利用者数は延べ2億人超です。

防災面で注目されるようになったのは、2004年の新潟県中越地震がきっかけでした。十日町市の「クロステン十日町」が避難所や給水拠点、支援物資の配布場所に活用されました。東日本大震災では、岩手県内陸部にある遠野市の「遠野風の丘」が、自衛隊や消防隊の車両基地に使われたほか、ボランティアの滞在拠点にもなりました。

防災拠点機能を持つ道の駅をいくつか紹介します。

和歌山「すさみ」は高台にあってICに直結

南海トラフ巨大地震で19mの津波が想定されている和歌山県すさみ町は2015年、国とともに道の駅「すさみ」を整備しました。

「すさみ」は海抜約28mの高台にあり、約1km離れた紀勢自動車道のICと道路でつながっています。そのため警察、消防、自衛隊などの車両は津波の影響を受けずにアクセスできるのです。ガソリンスタンドを併設し、ヘリポートに使える駐車場(約2000㎡)や、水16tを保管する貯水タンクや災害用トイレも備えています。

宮崎「つの」はアルファ米3000食分などを備蓄

宮崎県も南海トラフ巨大地震で大きな津波が予想されます。同県都農町の道の駅「つの」は、太平洋沿岸から約1.5km、海抜26mの地点にあり、町の指定避難所になっています。

国交省が2013年の開業に合わせて整備した防災備蓄倉庫では、町が平時からアルファ米3000食分、ミネラルウォーターのペットボトル1000本などを備蓄・管理しています。トイレ用の貯水槽や非常用電源もあり、断水や停電でも3日間は持ちこたえられるといいます。

防災機能強化へ国も助成

国交省によると全体の半数近くにあたる約500の道の駅が、自治体の地域防災計画で、被災者を短期間受け入れる「一時避難所」や水や食料の備蓄施設などになっています。国も耐震化や非常用電源、貯水タンクの整備費用への助成などを実施しています。

中央防災会議が2020年にまとめた防災基本計画では、道の駅を地域の防災拠点とし、機能強化を進めるとしています。災害時に利用できる発電設備などを駐車場に設置しやすくなれば、生活拠点としての役割もより高まることになりそうです。

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