「防災・減災を佐賀で行う」根木佳織・NPO法人事務局長

被災地支援専門のNPO法人「A-PADジャパン」

地震や豪雨などの自然災害が全国各地で頻発する中、NPO法人「アジアパシフィックアライアンス・ジャパン」(A―PADジャパン)は、佐賀市を拠点に被災地の支援や減災への備えに取り組んでいる。事務局長の根木佳織さん(=写真)に、活動実績や力を入れている取り組みなどについて聞いた。

2015年に設立したいきさつと現状

――設立の経緯は。

2011年の東日本大震災より前は、災害対応に当たる行政に、企業の資金や物資などが届けられにくいという課題があった。企業側からすると、どのように使われるか分かりにくかったためだが、被災地支援を専門とするNPOが間に入ることで明確化でき、スムーズに届けられるようになった。

捜索や救命、物資の配布、避難所のサポートなどの緊急支援をはじめ、防災や減災に取り組む組織として、2015年11月にA―PADジャパンを設立した。大規模災害に備え、台風や津波などが頻発するアジア太平洋地域の計6か国の団体と物資や情報などを共有、連携するA―PAD(東京)の日本組織という位置づけで、5人のスタッフと運営している。

説明:「A―PADジャパン」のホームページ(https://a-padj.org/index.html

「ふるさと納税」にも着目した

――なぜ佐賀市に拠点を置いたのか。

他地域に比べ、災害が少ないとされているからだ。連携するアジアの国々にも近く、佐賀空港から国内外の被災地に民間チャーター機を飛ばすこともできる。佐賀県には、ふるさと納税で指定したNPOを支援できる制度もあり、寄付を集めやすいと考えた。

――活動の実績を教えてください。

2016年の熊本地震、2017年の九州北部豪雨、2018年の西日本豪雨、2019年の九州北部の記録的大雨などで救助や避難所支援などを行った。災害発生時には、当日か翌日に被災地入りしている。2019年に被災した大町町などでは、車が浸水して使えなくなった方を対象に、買い物支援のためにタクシーチケットの配布といった現地のニーズに合わせた活動を展開した。

協力団体と「ARROWS」という医療支援チームを作っており、航空機で佐賀大医学部付属病院の医師を派遣する救命・救急活動にも取り組んでいる。

コロナ禍に対して行ったこと

――最近、特に力を入れていることは何か。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大で、避難所をどのように運営するかが課題になった。そこで、避難者受け入れ時の健康チェック方法などを簡潔にまとめた「避難所運営はじめてハンドブック」を作り、県や大町町などに寄贈した。

写真説明:佐賀県に「避難所運営はじめてハンドブック」を寄贈した根木事務局長(右)(2020年9月)

――今後の目標を。

2020年11月から被災後すぐに配布できるよう、避難所で必要なマスクや歯ブラシなどをまとめた衛生キットの備蓄プロジェクトも始めた。県のふるさと納税制度を活用し、500人分を購入予定で、目標金額は150万円だ。活動費は全て寄付で賄っており、できることは限られるが、より多くの方に理解してもらいながら、活動の幅を広げていきたい。

根木佳織氏 <プロフィル> ねき・かおり 京都府宇治市出身。大学卒業後、国際協力などを行うNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」(本部・広島県)に入り、アフガニスタンで難民支援に従事。国連の機関に出向し、イラクの人道支援などにも携わった。A―PADジャパン設立に伴い、佐賀市に移住。家族と九州の温泉地などを巡るのが息抜き。

(読売新聞 2020年12月21日掲載 佐賀支局・小野悠紀)

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