災害時に水循環式でシャワー可能! 千葉・富津市が住民向けシステム導入


写真説明:千葉県富津市が導入した水循環式のシャワーシステム(2021年3月)

断水し、仮設風呂がないときに

千葉県富津市は、災害用に、水を浄化して繰り返し使える循環式シャワーシステムを導入しました。断水し、仮設風呂などの提供がないときに被災した住民たちに利用してもらうためです。この記事では、システムの特徴や導入の経緯、浄化性能などを紹介します。

システムの概要

富津市が導入したシステムは、浄化装置(幅82cm×奥行き45㎝×高さ約93㎝)に、シャワーテント(90cm×90cm×210cm)と脱衣テント(200cm×200cm×240cm)、貯水と排水用の2つのタンクや灯油を使う給湯器、これらをつなぐチューブなどがセットになったものです。テントやタンクは組み立て式なので、使わない時は折りたためます。システムは電気で作動し、停電時や屋外で使用する場合は発電機などにつないで利用します。

写真説明:浄化装置(手前中央)とテント、タンク一式=WOTA提供

水を貯水タンクに注入すると、給湯器で32~50度に温められ、シャワーテントで使えるようになります。使用後の水は、浄化装置でほこりや臭いなどを除去してからいったん中間タンクに集められ、再び浄化装置で殺菌されるなどして貯水タンクに戻ります。このため限られた量の水で繰り返し、シャワーを利用できるのです。

システムは水インフラに関するベンチャー企業「WOTA(ウォータ)」(東京)が開発しました。富津市は2021年3月、約500万円(税込み)のセットを、2セット購入しました。

写真説明:テントやタンクを折りたたんだ状態。使うときに組み立てる=同社提供

シャワーを浴びる手順

使い方は以下の通りです。

脱衣テントに入り、内部に設置されたシャワーテントでシャワーを利用します。シャワーヘッドのスイッチを押すとお湯が出てきます。脱衣テント内で完結するためプライバシーは守られます。テントの開閉はどちらもファスナー式です。1人用ですが、子どもが未就学などの場合には保護者と2人で利用することもできそうです。

導入に至った経緯

富津市がシステムを購入したのは、2019年9月の台風15号がきっかけです。断水や停電に見舞われた際、市は同社からシステムの提供を受け、住民向けに設置しました。この時に「好評を得た」(市防災安全課)ことから購入しました。

写真説明:台風15号の被災時に富津市内のフェリー乗り場近くに設置されたシャワーシステム(2019年9月、同社提供)

市は、まず2019年9月13日に中心市街地にある市民会館の敷地内にシャワーを2セット設置しました。翌日、2セットとも市南部の金谷港近くに移設して2日間シャワーを提供しました。1人あたりの想定利用時間は着替えを含めて10分程度。WOTAの記録では、2か所で延べ169人が利用したといいます。

水循環式のメリット

シャワーで使う水の量は、大人1人あたり約50Lとされています。通常のシャワーであれば、100Lの水で利用できるのは2人です。

一方、水循環式のこのシステムは、「100Lの水で100人が利用できる」とうたっています。利用後にタオルで拭き取られる水滴や自然蒸発分を除いた、ほぼ全ての水を再利用できるからです。循環率は「98%以上」(同社)といいます。

水質を保つ仕組み

システムのカギとなる浄化装置は、エアコンの室外機ほどの大きさに、4種類6本のフィルターや塩素を内蔵しています。制御には人工知能(AI)を活用し、効率的に作動します。浄化できる水量は1分当たり最大約4Lで、その水質は「公衆浴場基準をクリア」(同社)しているといいます。せっけんやシャンプーの利用も可能です。

写真説明:フィルターなどを備えた浄化装置の内部

設置の手間や運搬性は

同社によると、システムの設置に要する時間は大人2人で約15分。また、使わない時はテントやタンクを折りたためるので、普通免許で運転できるワゴン車などで運べます。

富津市の高橋恭市市長は、2021年3月に市内で行ったデモンストレーションの際、「山間部や高齢者が多く、持ち運べるシャワーシステムはいざという際に役立つ」と話しました。

市防災安全課はこのシステムの利用について、1か所で男性と女性用に分けた運用や、2か所に設置して時間を区切って男女で使う運用などを想定しています。また、防災訓練時の体験利用なども検討しています。

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