中小企業の災害対策は? コロナや南海トラフにどう対応するのか

写真説明:入居企業が連携して災害対策に取り組んでいる岐阜県可児市の可児工業団地(提供写真)

1つの企業で難しいなら共同で

南海トラフ地震が予想される東海地方は、BCP(事業継続計画) などリスクへの備えが、企業の将来を左右する。災害に備える企業の現場を探る。

コロナ・岐阜の工業団地が作ったマニュアル

自動車や工作機械など製造業の47社が入居する可児工業団地(岐阜県可児市)の「災害に強い可児工業団地を目指す委員会」は2020年7月、新型コロナウイルスへの対応を話し合った。

焦点は、風評被害の防止だ。「隣の工場が休めば(コロナの)不安が広がるのではないか」と懸念が出ていたが、「感染者が出た場合はしっかり公表した方が、むしろ安心して働けるはず」との結論に落ち着いた。

委員会は保健所への連絡手順、「濃厚接触者」の定義などを記載したマニュアルを作成し、感染者が出た場合の対応基準と発表の定型文も定めた。団地内では約20人の感染者を確認したが、クラスター(感染集団)への発展は免れた。

「事前に対応を決めていたので、混乱はなかった」と同団地の協同組合幹部は振り返った。

どう進めたか

大きな災害が起きれば、電力や道路の寸断、部材や燃料の不足、復旧要員の確保など「人数に余裕がない中小企業では取り組むのが難しい」(組合幹部)問題が、次々と生じる。

そこで、約5000人が働く岐阜県最大級の工業団地である同団地は、災害時に入居企業が協力する体制をつくるため、2018年に「目指す委員会」を設立した。行政や取引先との連携も含めた事業継続計画(BCP)をとりまとめた。

写真説明:可児工業団地の協同組合には、連絡体制を明示した貼り紙や無線機が用意されている(岐阜県可児市で)

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