早期復興へ!名大チームが水害ごみ量迅速推計手法を開発


国土地理院の浸水地図を活用

大雨による河川氾濫などの水害で生じる廃棄物(災害ごみ)の総量を、被災地の浸水地図から迅速に推計する手法を名古屋大のチームが開発した。自治体が処理を進める際の参考となり、被災地の早期復興に役立つと期待される。今後、自治体の職員向けに研修を開くなどして活用を呼びかける。

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水害時は大量の災害ごみが出る

水害が起きると、家屋の残骸や家具などの災害ごみが大量に出る。2018年の西日本豪雨では、被災地全体で計約200万tが出たとされる。

これらのごみは、自治体が選んだ運動場や広場などの「仮置き場」に運ばれた後、種類ごとに分別して処理施設に運ばれる。しかし、近年は気候変動などで災害の規模が拡大し、建物被害の範囲が広がった結果、ごみの総量の把握に時間がかかるようになってきた。仮置き場の確保に手間取り、処理完了まで2~3年かかるケースもある。

写真説明:西日本豪雨では大量の家財道具が災害ごみとなった(岡山県倉敷市で、2018年7月11日撮影)

新手法だと1日以内で概算

名古屋大の平山修久准教授(災害環境工学)のチームは、国土地理院が水害発生から数日後に公表する「浸水推定図」を使う手法を考案した。推定図にある水深、浸水範囲の情報をパソコンで読み取り、建物の数や位置のデータと組み合わせると、「全壊」「床上浸水」「床下浸水」の戸数が自動的に計算され、過去の災害例を基にごみの総量が1日以内にわかる。

西日本豪雨で水害が起きた岡山県倉敷市真備町についてこの手法で推計した結果、ごみの総量は34・3万tで、岡山県が公表した38・07万t(推計値)に近い値となった。

◆災害ごみの総量を推計する手法

説明:画像は国土地理院提供

京都大の浅利美鈴准教授(環境工学)の話
「ごみの仮置き場の選定、運搬方法を考えるためにも、重要で意義のある成果だ。実際に活用する際には推計結果が出た後もデータ収集を続け、数値を修正していくことが大事だ」

〈浸水推定図〉
国土地理院が、上空からの画像や土地の標高データなどを基に、水深や浸水範囲を示した地図。水深は、青色の濃淡で表す。西日本豪雨では、被災者がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に投稿した情報も参考に地図が作られた。

(読売新聞 2021年8月2日掲載)

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