屋外に会議用のテラス!コロナ禍でオフィスの感染対策進化中

テレワーク浸透で目指せ!選ばれるオフィス

コロナ禍を受け、感染対策を強化したオフィスビルが増えてきた。テレワークの浸透で空室率の上昇が続く中、屋外で会議ができるように大型テラスを設けたり(=写真、コスモスイニシア提供)、エレベーターでも換気能力を高めたりして工夫を凝らす。感染収束後を見据え、各社は選ばれるオフィスを目指している。

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換気重視

大和ハウス工業傘下のコスモスイニシアは、2021年4月に完成した東京・東日本橋の8階建てビルで、2階以上の全階に大型テラスを設けた。会議スペースにすることも念頭に奥行き約3mを確保した。室内外の仕切りとして、天井から床までのスライド式窓を採用し、短時間で換気できるようにした。

サンケイビルが2021年8月に完成させた大阪市のビルは、エレベーターに排気ファンを追加する。オフィスの換気能力は法定基準の1・5倍を確保し、1階のエントランスは開放すれば風が通り抜ける構造にする。

コロナ禍で需要が急増したシェアオフィスでも、野村不動産が室内の二酸化炭素濃度を測定し、高くなると換気を自動で強める機能を導入している。

◆オフィスの感染対策を進める企業の主な取り組み

対策が進む背景

オフィス仲介大手の三鬼(みき)商事によると、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の平均空室率は16か月連続で上昇している。テレワークの普及で企業がオフィス面積を減らす動きが相次いだためだ。

日本生産性本部の調査では、テレワークの実施率は2020年7月以降、20%程度の横ばいで推移している。ただ、社員同士のコミュニケーションを円滑にするためには出社のほうが望ましいと考える企業も多く、感染収束後は一定のオフィス回帰が進むとみられる。

入居先を探す企業にとって、感染対策は「社員の安心・安全を考える上で非常に重要な点だという声が上がっている」(サンケイビル広報担当)という。ニッセイ基礎研究所の吉田資・主任研究員は「オフィスのコロナ対策は今や必須」と指摘しており、都心を中心にオフィスが厳しく選別されている。

行政による促進策

行政も対応を急ぐ。福岡市は、中心部の天神地区で換気機能強化など感染対策をとったビルに建て替える場合、容積率を緩和してより高く建てられるようにする措置を2年間延長すると決めた。東京都も中小企業に対し、オフィスや店舗などで換気設備を導入する場合、最大200万円を補助する。

◆行政による促進策の例

(読売新聞 2021年8月2日掲載)

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