災害時にオンライン診療!避難所で持病の薬を受け取る仕組み考案

災害時に避難所で持病がある人らを地元の医療機関にオンライン診療してもらい、必要な薬が届く仕組みを、被災地で活動する災害派遣医療チーム(DMAT)の医師らが考案した。避難所では、かかりつけ医の診察を受けることが難しく、薬の処方が受けられない場合も多い。医師らは「各地の医師会などに協力を呼びかけ、災害関連死の防止につなげたい」としている。

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オンライン診療が求められる理由

避難所では被災によるストレスに加え、水分補給や室温調節の難しさから体調を崩しやすい。2018年7月の西日本豪雨など過去の災害では、DMATの医師らが避難所を巡回して診療にあたったが、大規模災害時は避難所の数が多く、対応に限界があった。

DMATの隊員で神戸学院大の中田敬司教授(災害医療)らは、2020年4月から新型コロナウイルス対策の特例措置で、オンライン診療が初診から可能になったことに着目。被災地の医療機関と患者をつなぐ新たな仕組みを考えた。

避難所の患者と被災地の医療機関をつなぐ仕組み

具体的には、被災地でオンライン診療に対応し、いち早く復旧した医療機関をリスト化して避難所に掲示。避難所で受診を希望する人は医療機関を選び、パソコンなどを通じてオンライン診療を受ける。避難所に薬を届けられる薬局のリストも作り、医師は避難所に近い薬局に処方箋をファクスなどで送る。

この仕組みを2020年の九州豪雨で試行

中田教授らは2020年7月の九州豪雨で大きな被害が出た熊本県人吉・球磨地域の避難所で、電話を使ってこの仕組みを試行。「車が浸水して動かない」などの理由で、持病がありながら通院できない人たちが電話で受診し、薬が届けられた。

中田教授は「持病がある人や高齢者がスムーズにオンライン診療を受けられ、薬も手元に届けば、避難生活による体調や持病の悪化を防げる」と話す。

〈オンライン診療〉
パソコンやスマートフォンの画像通話で医師の診察を受けること。従来は糖尿病などの慢性疾患が対象で、通院との併用が条件だった。新型コロナの院内感染防止のため取り入れる医療機関が増え、2021年4月末現在で初診から対応できる医療機関は全体の6・5%。政府は将来、初診からのオンライン診療を恒久化する方針だ。

(読売新聞 2021年7月26日掲載)

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