消防の人命救助にロボット!元レスキュー隊員起業して次々開発

写真説明:開発したロボットを手にする田中章さん(埼玉県寄居町の「アームレスキュー」で)

社名「アームレスキュー」に意味を込め

長年レスキュー隊員として勤め、2020年3月に埼玉県深谷市消防本部を退職した田中章さんが、現場の隊員の危険を減らし、より迅速な活動を支援するロボットの開発会社を寄居町で設立した。消防を天職としてきた田中さんが、これまでの経験を生かして作るロボットに消防関係者が注目している。

会社名は腕を差し伸べて救助する意味を込め「アームレスキュー」と名付け、2021年7月7日に妻と2人で自宅を本社にして設立した。

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レスキュー隊員としての経験

田中さんは埼玉県深谷市(旧川本町)生まれ。1979年に東京消防庁に入り、3年後、あこがれのレスキュー隊員になり、火災、水難事故、生き埋めなど多くの災害現場で活動した。

1987年に「地元にレスキュー隊を作るので戻らないか」と要請され、東京消防庁を退職し、埼玉県寄居地区消防本部に入った。経験を買われ、県消防学校で6年間、教官として救助技術を教えたこともある。2018年から2年間、深谷市消防本部消防長を務め、退職後も、「地域防災に貢献したい」とボランティアで消防・防災の講演活動をしてきた。

人命に関わるロボット作りに

2021年4月、消防署長時代に知り合ったITロボット開発会社「アトラックラボ」(本社・埼玉県三芳町)の伊豆智幸社長と寄居町で偶然再会した。同社は草刈りロボットや無人搬送車を製作しているが、伊豆社長から「人命に関わるロボットを作りたいので消防防災の専門家を探していた。災害現場で、すみやかに人命救助ができるにはどういうロボットが必要なのかアイデアと人脈を出してほしい」と言われ、「これは天命だと思った」という。

無人放水ロボットと消防ホース延長ロボット

動きは速かった。わずかひと月で、「無人放水ロボット」と「消防ホース延長ロボット」を試作した。無人放水ロボットはポンプ車から40m先まで移動し、放水する。水は高さ20mまで達し、3、4階建ての建物まで対応できる。どちらもリモコンで簡単に操作でき、現場での消火活動の大きな助けになる。

写真説明:「無人放水ロボット」(右)と「消防ホース延長ロボット」

このほか、上空からカメラで被害を確認し、川の中州で立ち往生している人がいればスピーカーで、避難誘導をする小型無人機「ドローン」や、沈んでいる人をピンポイントで発見する水中探知機を備え、溺れている人に救命浮輪やロープを渡す「無人艇」も開発中で、陸海空で救助活動の支援を目指す。

8月から受注開始

8月から消防署などで実演を行い、受注をはじめた。値段はまだ検討中だが、自治体の消防装備予算は少ないので、できるだけ安くしたいという。また、隊員向けの講習も行う予定で、現場へのサポートも万全だ。

「近い将来、危険な場所はロボットが隊員の代わりをする時代が来る。まさかこの年で起業するとは思わなかったが、少しでもその手助けをしたい」と、第二の消防人生を全力疾走している。

(読売新聞 2021年8月8日掲載)

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