熊野川が氾濫し、家屋3000棟が被災した
和歌山、奈良、三重の3県で死者・行方不明者が計88人に上った2011年9月の紀伊水害から10年。被害が大きかった和歌山県新宮市の田岡実千年市長=写真=に、復興の歩みや、被災経験を踏まえた今後のまちづくりについて聞いた。
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9月2日午後7時に災害対策本部を設置した
――当時の状況は。
10年前の9月2日午後7時に災害対策本部を設置し、庁舎内に泊まり込んだ。3日午前の会議中、職員が「1人行方不明」と血相を変えて飛び込んできた。雨は激しさを増し、家屋の浸水や集落の孤立といった報告も入ってくる。情報が入り乱れる中、「いったいどれだけの被害が出るのか」と、気が気ではなかった。
(9月)4日朝になって、少しずつ全容がわかってきた。土砂災害や浸水、河川の氾濫によって多くの尊い命が奪われ、家屋の被害は約3000棟にも上った。
◇新宮市内の被害
死者 13人
行方不明者 1人
全壊 81棟
大規模半壊 58棟
半壊 187棟
床上浸水 1472棟
床下浸水 1168棟
写真説明:押しつぶされた建物で救助活動をする消防隊員ら(和歌山県新宮市で、2011年9月5日撮影)