地震の感震器で国内シェア9割の生方製作所 こだわりの品質で海外進出へ意欲

震度5強でガス遮断して火災を防ぐモノ

グラグラと大きく揺れたと思ったら、今度は、向きを変え、ガタガタと少し速いテンポで振動した。生方(うぶかた)製作所(名古屋市南区)の本社工場では、感震器(高さ、幅共に2cm強)の振動検査が行われていた。

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検査装置には、一度に合計40台の感震器が並び、震度5強の地震を想定した揺れに対する反応を確認していた。

感震器とは

感震器は、防災装置の一種。地震による地震振動を検出して作動する。震度5強以上を検出した場合に、自動的にガスを遮断する制御信号を発する。家庭用のガスメーターに装着されているほか、ガスや石油のファンヒーターにも使われている。

大きな地震を検知すると、ブレーカーを作動させてガスの供給を止め、火災発生を防ぐ。日本では法令で設置が義務づけられている。同社の国内シェア(市場占有率)は87%(同社調べ)を誇る。
国内で発生する特徴的な地震の波形データを専門機関から取り寄せて分析。トラックが近くを通るなど一般的な生活振動には反応せず、地震を検知した場合だけに作動する。日常生活では目にしないが、人知れず働く優れものだ。

過去の大規模地震では素早く作動し、火災の発生を抑えてきたという。同社では「サイレントヒーロー」と呼んでいる。

生方真哉社主(=写真)は「私たちは地震のスペシャリストとして、人の命、安全にこだわってきた。ここからは離れない」と力を込める。

地震だけに反応する仕組み

金属製容器内には不活性ガスが満たされており、直径6mmのニッケル鉄合金のボールが1つ入っている。

写真説明:ずらりと並んだ製造中の感震器(名古屋市南区の生方製作所で)

このボールが地震で揺れると、上部にあるグローブのような形の接点に触れる。揺れ具合から、地震かどうかを見分ける。ボールは精度の高い真球だ。東海地方の自動車関連企業から調達している。

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