気象予報士10倍に!三井住友海上、気候変動対応「モネをたくさん育てたい」


写真説明:台風19号で冠水した宮城県丸森町(2019年10月13日撮影)

自然災害急増踏まえ社員の資格取得支援

三井住友海上火災保険は、2025年度までに社内の気象予報士を現在の5人から50人規模に増やす方針を固めた。自然災害の急増に対応するため、会社が資格の取得を支援し、気象に詳しい社員を増やす。

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気候変動対応で精度の高いサービス開発を想定

気象データの分析能力を強化することで、企業の関心が高い気候変動に伴う事業リスクについて、精度の高いサービスを提供する。大規模災害に備えた火災保険の補償範囲や保険料の設定にもいかしたい考えだ。気象予報士の社員を大幅に増やす取り組みは、損保業界でも珍しいという。

気象予報士は、気象業務法で定められた国家資格で、防災で重要な役割を果たしている。三井住友海上では5人の気象予報士がおり、保険引き受けを判断する業務のリスク分析で知見を発揮している。

有資格者への処遇も検討

気象予報士の試験は、大気や自然現象などの一般知識に加え、観測データの活用、中長期の予測といった専門的な内容が問われる。合格率は5%程度で、2025年度までに10倍にするのは簡単ではない。

三井住友海上は2021年度中にも、社員向け講座の開設や資格取得者に対する異動での優遇など、士気につながる施策をする方向で検討している。

気象予報士は、NHKの連続テレビ小説「おかえりモネ」の放送もあって脚光を浴びている。気象予報士の勉強に挑戦したことがある三井住友海上の船曳真一郎社長=写真=は、「会社でたくさんの『モネ』を育てたい」と話している。

損保業界全体では

近年は台風や豪雨による被害が相次いでいる。大規模な自然災害に伴う保険金の支払額(地震を除く)は増加傾向にあり、損保業界全体では2018、2019年度に2年連続で1兆円を超えた。2021年も7、8月に豪雨があったことから、日本損害保険協会は8月に災害対策本部を設置し、損保各社と連携して対応している。

(読売新聞 2021年10月4日掲載)

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