国のモデルに!地域に合った住民避難のあり方研究、栃木で進行中

国士舘大・群馬大・小山高専の研究グループ

2019年の台風19号などで大きな被害を受けた栃木県栃木市の中心部で、地域の実情に合った住民避難のあり方の研究が、2021年10月から始まった。風水害時の「犠牲者ゼロ」を目指し、国士舘大や群馬大、小山高専の研究グループが進めており、自治会役員らから水害体験を聞いている。研究は市と協力しながら2022年度まで続け、避難方法などを提言するほか、地域防災の担い手を養成する研修会なども実施するとしている。

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内閣府の「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」の一環

栃木市は2015年、2019年と大きな水害があり、2019年には永野川の堤防決壊などで1人が死亡、2人が重傷、約8000世帯が床上・床下浸水の被害に見舞われた。

写真説明:2019年の台風19号で永野川が決壊し、線路が土砂に覆われるなどした栃木県栃木市内(2019年10月13日)

今回の研究は、内閣府が進める「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」の一環として全国で行われる研究の1つ。研究グループは、栃木市内で被害を受けた5つの自治会を対象に聞き取り調査を行っている。

自治会の聞き取り調査では

2021年10月には同市富士見町自治会(約200世帯)の役員ら7人が地元の公民館で拡大した住宅地図を見ながら、2度の水害を振り返り、押し寄せた水の流れなどを説明した。

写真説明:住宅地図を見ながら研究者グループに水害の状況を説明する自治会役員ら(栃木県栃木市の富士見町自治会公民館で)

「2015年は巴波(うずま)川の近くが浸水したが、2019年は永野川の水が押し寄せて町内の9割の住宅が浸水被害を受けた」「2年前は、まさか2kmも離れた永野川の水がここまで押し寄せるとは思わなかった」などと話した。

また、2019年の避難状況については「事前に避難所に行った人は一部で、ほとんどの人は自宅にいた」「スーパーの駐車場に車を避難させ、帰りに水かさが増えて近所に助けを求めた人もいた」などと説明した。

自治会と研究者とのやりとり

研究グループの一人、群馬大の金井昌信教授は熱心に話を聞いた上で、「町内は、2度の水害に遭っている。次に来る水害のために、地域で何ができるか考えてほしい」と要望。具体的には高齢者や平屋に住む住民の早めの避難や、2階建て住宅で暮らす住民の垂直避難などを促すため、自治会がどんな支援ができるのかを考えることが重要だと訴えた。

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