豪雪下の複合災害にどう備えるのか?―北海道からの問題提起

防災シンポジウム「冬の北海道の広域複合災害」から

防災シンポジウム「冬の北海道の広域複合災害」が2021年9月、札幌市北区の北海道大学で開かれた(=写真)。2018年9月6日の北海道地震から3年を迎え、北海道大学広域複合災害研究センターと読売新聞北海道支社が共催した。専門家らが指摘した豪雪や暴風雪についての課題や対策を紹介する。

こちらの記事も読まれています→11年目の福島原発事故 相次ぐ地震で施設の備えを再点検(前編)

写真説明:北海道地震で土砂崩れが発生し、あらわになった山肌(北海道厚真町で、2018年9月6日撮影)

<基調講演>減災に応用できる荘子の「無用の用」という考え

丸谷知己・北海道立総合研究機構理事(自然災害科学)=写真

中国の古典「荘子」にある言葉「無用の用」と災害について話したい。普段は使えないものが使い方次第で有用になるという話だ。

川の石や砂丘について

以前研究で訪れた宮崎県の山間地の川では大きな石が多い。石は邪魔で役に立たないと思われがちだが、流れる土砂が下流の人家などに直撃するのを防ぐ。
海岸砂丘は津波の際に砂丘背後の浸水を防いで越流を遅らせる。道と私たちは白糠町で津波遅延のための治山事業実験を行った。無駄とされた土捨て場を利用して津波対策の海岸砂丘を作った。

スクリーンダムや空き地について

富良野川など国内3か所にある「スクリーンダム」は川の流れをすのこでこす巨大な構造物だ。土石流の土と水を分離し、流れのエネルギーを小さくする。

空き地も市街地では無用に見えるが、地震で集団避難所に行けない時に一時的な避難所になりうる。札幌市街ではほとんど消えたが、北大の構内には幸い多い。

自然災害では、人間の対策より自然の力の方が大きいのが現状だ。自然の力の方向を変換させ、時間差を与えたり空間的に分散させたりするのが減災の観点からは大事だ。

この記事をシェア

記事一覧をみる

防災ニッポン+ 公式SNS
OFFICIAL SNS

PAGE
TOP