サイレンや声で避難呼びかけ!奈良市がITと併用して防災スピーカー活用

災害激甚化でSNSやスマホ苦手な人も避難できるよう

奈良市が、避難や気象などの情報を音声で一斉に伝える「防災スピーカー」の運用を強化している。2021年9月末までに市内の設置場所を従来の約1・5倍の72か所に増やしたほか、市民に避難を呼びかける放送を行う前に、特定パターンのサイレンを鳴らす仕組みも導入した。局地豪雨などが増え、過去に経験のない規模の災害が発生する恐れが高まる中、全ての市民に情報を確実に伝える態勢を確保する狙いがある。

こちらの記事も読まれています→早期復興へ!名大チームが水害ごみ量迅速推計手法を開発

防災スピーカーの設置場所

新たな防災スピーカーは、人口が集中する市中心部と西部の25か所に設置。内訳は▽学校 15か所▽公園7か所▽その他公共施設3か所――。この結果、市中心部と西部のほとんどの地域で、放送内容が聞き取れるようになったという。

写真説明:奈良市立佐保小学校に設置された防災スピーカー

避難情報の放送前にも新しい工夫

また、2021年5月に、災害対策基本法が改正され、自治体が災害時に出す避難情報が、土砂崩れや河川氾濫などの恐れが高い「警戒レベル4」の際に「避難指示」、災害が発生または切迫している「レベル5」の際には「緊急安全確保」に、それぞれ改められたのに合わせ、サイレンも導入。緊急安全確保の際は「10秒吹鳴―5秒停止―10秒吹鳴」、避難指示の際は「5秒吹鳴―5秒停止―5秒吹鳴―5秒停止―5秒吹鳴」のパターンを設けた。

激しい雨の際などに、放送内容を聞き取れないことに配慮したという。

防災スピーカーの活用を強化した背景

防災情報を巡って、市はこれまでSNSやエリアメール、速報アプリなどで入手できるようにしてきた。ただ、スマートフォンを使いこなすことができない高齢者や障害者は「情報弱者」になりがちなことが課題となっており、市はスピーカーの活用を強化することを決めた。

防災スピーカーは毎月第1月曜(祝日の場合は第2月曜)午後5時に試験放送を実施している。放送内容は、最新の1件についてフリーダイヤル(0120・090・163)で確認できる。

防災スピーカー以外では

市は、このほか、緊急時に自動で電源が入り、防災スピーカーと同じ内容の放送を自宅で聞くことができる緊急告知ラジオ(8800円)も販売。

写真説明:奈良市が販売する緊急告知ラジオ(市のホームページより)

購入費用のうち4000円を補助しているほか、視覚障害者には無償で配布している。

詳細は、市のホームページ(https://www.city.nara.lg.jp/site/bousai-saigai/8330.html)で確認できる。

(読売新聞 2021年10月6日掲載 奈良支局・岸本英樹)

<関連する記事はこちら>
アイリスオーヤマ大山健太郎会長の災害対応「現場力を磨く」

この記事をシェア

記事一覧をみる

防災ニッポン+ 公式SNS
OFFICIAL SNS

PAGE
TOP