島根県警の災害対応強化!ドローン・LINE適時利用で即応に効力

写真説明:ドローンを活用した災害救助訓練(島根県警提供)

行方不明者の捜索や現場での情報収集に活用

近年相次ぐ自然災害を受け、島根県警が災害発生時の対応力アップを目指している。行方不明者の捜索活動や災害現場の情報収集に、小型無人機「ドローン」や無料通信アプリ「LINE(ライン)」を活用する取り組みを進め、災害時の活動の幅を広げている。

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大雨時のドローン活用

台風9号から変わった温帯低気圧の影響で、島根県内に記録的な大雨が降った2021年8月9日。島根県益田市の高津川で転落し、2日後に遺体で見つかった男性の捜索では、益田署が同市の民間企業「ドローンクリエイト」に出動を依頼した。ドローンは、増水で警察官も行くことが難しい場所や、川の中州付近を上空から捜索した。

こうした活動での活用を想定し、県警では2021年7月末までに、松江、益田、津和野、隠岐の島の4署がドローンを扱う自動車学校や建設会社などと計6件の協定を締結。小回りの利くドローンは、ヘリでの捜索が困難な低空での活動などに効果を発揮するという。県警は協定に基づいた訓練を続け、環境を整えていく考えだ。

写真説明:2021年7月に消防などと実施した災害救助訓練。ドローン(左下)の姿も見える(島根県益田市で)=島根県警提供

災害現場でのライン活用

また、局地的な豪雨や道路の寸断など、迅速な情報収集が難しい現場について、近隣住民から情報を提供してもらおうと、ラインも活用。公式アカウント「島根県警災害情報BOX」を2020年7月に開設し、2021年7月末までに、同アカウントの友だち登録数は約1150件となっている。

寄せられた災害状況の投稿は2021年7月末までの1年あまりで約40件。土砂崩れや、道路の冠水、積雪などが主な内容で、現場を撮影した画像付きで送られてきた情報提供の投稿もあった。

情報提供後の対応

アカウントは通常、AIによる自動返信としているが、寄せられた情報に基づき、県警危機管理対策室の警察官が手動対応に切り替える。2021年8月に江の川が氾濫した際には、支流の氾濫状況や、浸水被害が発生した川本町内の状況が画像付きで寄せられ、情報を管轄する署と共有した。

写真説明:江の川の支流があふれて冠水した道路(2021年8月14日、島根県川本町で)

また、車の冠水情報の投稿では、チャット機能を使い、車内に人がいるかを投稿者に確認してもらうなど、現場の状況をやり取りしたケースもあったという。

ラインと110番の使い分け

県警はラインの活用について、「緊急性の高い場合は110番してほしい」とする一方、局地的な大雨などは近年、県内でも頻発しており、「警察だけで災害の全体像を把握するのが困難になっており、画像や投稿によって、災害の規模感をいち早く知ることができる」と期待を寄せる。

写真説明:島根県警察本部

県警危機管理対策室の林賢二室長は「ドローンの協定も、公式アカウントの運営もまだまだ途上だが、どのように有効活用ができるのか、今後も工夫を重ねていきたい」と話している。

(読売新聞 2021年9月2日掲載 松江支局・門間圭祐)

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