停電下自家発電でPCR検査も!筑波大が燃料電池バスで専用車

写真説明:筑波大が公開したバス(筑波大付属病院で)

災害時に避難所や保健施設への出動を想定

筑波大は、PCRなどの感染症検査を実施できる大型バスを開発した。バスは水素燃料電池車で、災害の被災地が停電していても検査に必要な大量の電力を自力で賄えるという。検査技師を乗せて避難所や被災地の保健施設などに駆けつけることを想定しており、被災者やボランティアの間で感染症が蔓延(まんえん)するのを防ぐことに役立つとしている。

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開発されたバスの仕様と設備

開発したバスは2021年11月18日、報道陣に公開された。トヨタ自動車の大型燃料電池バス「SORA」を改良しており、座席を外して検査機器や技師の作業台などを設置。低温でワクチンを輸送できるよう、氷点下40℃近くまで冷却できる冷蔵・冷凍庫も搭載した。

写真説明:検査ができるように改良されたバスの車内

新型コロナウイルスなら、1日あたり2000人以上の唾液検査を実施できる。結果は約40分で判明する。他の感染症にも対応できる。

燃料電池車を選択した理由

燃料電池車はガソリン車に比べて振動が少ない。このため、性能の低下など機器への悪影響を抑えられるメリットがある。発電能力も高い。大規模検査に必要な大量の電力をガソリン車で賄うことは難しく、燃料電池車が適しているという。避難所などへの給電もできる。

災害出動を見据えた今後の予定

今回の開発と実証実験は、新技術の活用に関連した内閣府のプロジェクトの一環だ。2022年3月まで実証実験を続け、電力の安定性や車両性能などを確かめる。

2022年1月には茨城県内外のイベント会場にバスを派遣する。PCR検査を実施し、機器が想定通りの性能を発揮できるか検証する。被災地では狭い道路を通ることもあり得るため、水素燃料電池のマイクロバスも開発して実証実験をする予定だ。

筑波大医学医療系の鈴木広道教授(感染症内科学)は「災害時にすぐに出動できるように緊張感をもって実証実験に取り組みたい」と話している。

(読売新聞 2021年11月19日掲載)

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