説明:3D地図を使って浸水被害をシミュレーションした映像
3Dならハザードマップがリアルに伝わる
国土交通省が国内56都市の地形や建築物を再現したデジタル3次元地図(3Dマップ)を、地方自治体で防災や街づくりに利用する動きが広がっている。国交省は地図を無償で提供しており、自治体にとっては活用しやすい。
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国交省の3D地図とは
国交省の地図作成は、住宅やビルなどの建築物の高さや面積などの情報を電子データ化し、自治体や民間に広く提供するのが目的。趣旨に賛同した24都道府県の56都市について、2021年8月までに地図を公表した。
鳥取市は浸水の可視化を啓発に
これを受け、鳥取市は三菱総合研究所(東京都)が国交省の地図に浸水データなどを加えて作ったシミュレーション映像を啓発に使用した。水害で建物が浸水する様子を可視化し、災害時は高い階層に逃げる「垂直避難」の考え方を市民に浸透させたいという。
説明:国土交通省の3次元地図を基に、三菱総合研究所が作成した鳥取市の小学校周辺の映像。手前の空間は校庭
説明:上の映像の場所で近くの河川があふれると、手前の校庭は池のようになり、左端の校舎や周囲の住宅は1階部分が水没する
長野県茅野市は「土砂災害警戒区域」に着目
長野県茅野市は「商業地」「住宅地」などの土地の用途や「土砂災害警戒区域」といった開発許可の申請に必要な情報を地図に組み入れて使っている。開発業者が市の都市計画や災害リスクを把握しやすくした。
防災以外の活用例
石川県加賀市は太陽光パネルの普及に活用する計画だ。パネルを設置する屋根の面積や傾斜角度などの情報を基に、発電量の推計を地図に表示できるようにした。周辺の建物にあたる反射光の影響も確認できる。
国交省は「これまで行政が調べた都市データは都市計画に十分に活用されてこなかった。可視化することで防災などの施策に反映させたい」としている。
(読売新聞 2021年11月12日掲載)
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