日本海溝・千島海溝地震の最悪想定「冬の深夜」極寒の避難にはこれが必要

写真説明:雪が激しく降る中での移動は足元や視界が悪い。夜間になればなおさらだ(青森市で)

備えのカギは雪と寒さ対策

政府の中央防災会議が2021年12月にまとめた日本海溝・千島海溝で起きる巨大地震の被害想定で、犠牲者が最大の19万9000人となるのは発生時期が「冬の深夜」となった場合だ。犠牲者を減らすためには、雪や寒さへの備えがカギになる。

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厳寒期の深夜の住民避難に考えておくべきこと

高齢者の歩く速度に考慮する

「雪があると歩く速度が落ちてしまう。高齢者を無事に避難させられるかどうか……」。
北海道南西部に位置するむかわ町の防災担当者が不安視するのは、雪の避難速度への影響だ。

平均的な歩行速度は毎分80m前後とされる。避難時は、混雑や判断の迷いなどのためほぼ半減する。雪ならさらに遅くなり、今回の想定は、うっすらとした浅い積雪でも同36m、膝下で同22mまで速度が落ちるとする試算を用いている。

◆雪で避難時の歩行速度は遅くなる

※避難時の速度は平野部。中央防災会議の資料に基づく

徒歩で逃げるルートも重要

むかわ町には地震発生から40分程度で、高さ最大11・3mの津波が襲来するとされる。今の計画では、避難所や、避難開始が遅れた場合に身の安全を確保するための「緊急一時退避施設」への移動は、徒歩が基本だ。

車を使うと道路陥没や渋滞の恐れがあるためだが、2021年10月の避難訓練では、参加した高齢者ら約50人の避難が完了したのは津波到達時刻の直前だった。町内では冬は雪が多い時で1日に数十cm降り積もる。積雪時の検討はこれからで、担当者は「今後、気象条件を考慮して避難ルートを改めて決めたい」と話す。

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