ドローンで薬配達!製薬会社がオンライン診療と組み合わせた実験

写真説明:珠洲市で行われたドローンの飛行実験(アステナHD提供)

能登半島の先端 珠洲市で高齢者向け医療サービス充実目指す

石川県珠洲市に拠点を置く医薬品製造販売会社「アステナホールディングス(HD)」(東京都)が、小型無人機「ドローン」で薬を配達する事業の実証実験を進めている。同市などの過疎地では医療機関が減り、高齢者の通院の負担が増している。同社はドローンとオンライン診療を組み合わせ、高齢者への細やかな医療サービスの提供を目指している。

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実証実験の概要と今後の予定

事業は、2021年6月に本社機能の一部を移転したアステナHDが新規事業として8月から始めた。同市で2021年9月に行った実験では、蛸島町の珠洲ビーチホテルと三崎町の金沢大学能登学舎まで、約4kmを結んでドローンを飛ばし、飛行ルートの設定や気象条件の考慮など、安全に運用するための課題を確認した。2022年春にも実用化することが目標で、将来的に全国へ広げたい考えだ。

診療から薬を届けるまでの流れ

計画では、集会場や寺院など高齢者が集まりやすい市内8~9か所にインターネット環境やドローンの発着場を整備。市総合病院の医師が、高齢者などをオンラインで診察した後、同病院の薬局から薬をドローンで配達する。

◆ドローンを利用した診療のイメージ

ドローンで人手をかけず薬が配送できるため、これまで頻繁に通院できず大量の薬を受け取っていた高齢者が、オンラインでこまめに受診し、無駄なく薬を受け取れるようになることが期待されるという。

この実証実験の位置づけ

政府は規制改革で、新型コロナウイルス対策として特例的に認めていた初診からのオンライン診療を2022年度から恒久化すると決めた。かかりつけ医による診療が原則だが、健康診断結果などで患者の状態を把握できる場合は例外を認めており、オンライン診療の環境は整いつつある。

アステナHD新規事業推進室の担当者は「過疎化が進む珠洲市が抱える課題は、10年、20年後に全国の課題になる。この事業を実用化することで、全国どこでも課題解決できる『スズ・モデル』を作りたい」と意気込んでいる。

(読売新聞 2021年11月16日掲載)

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