空港と周辺3町が災害備蓄品をネットで共同管理!南紀で実証実験

「ベル・データ」のシステムで広域共有し、有事の融通スムーズに

南紀白浜空港(和歌山県白浜町)とその周辺3町(すさみ、白浜、上富田)で、それぞれの災害備蓄品をオンラインで共同管理するシステムの実証実験が進んでいる。システムは東京のIT企業「ベル・データ」が開発。最新の備蓄状況を広域で共有し、より効率的な備蓄や災害時の物資の融通などがスムーズに進む効果が期待できるという。

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どのように共有するのか

災害備蓄品は多くの場合、自治体や団体が個々に管理している。南紀白浜空港と3町も個別に管理しており、広域で備蓄して連携する体制ができていなかった。

実証実験では、空港と3町の担当者はそれぞれ、備蓄品の種類、数、賞味期限などの詳しい情報をタブレット端末やパソコンでシステムに入力する。システムはオンラインでつながっており、互いの備蓄状況を閲覧できる。

備蓄状況を共有する狙い

上富田町の担当者は「周辺の備蓄状況がわかれば、お互いに賞味期限をずらして購入したり、災害時に不足分を迅速に融通しあったりするなど、広域で連携しやすくなるはず」と期待する。

システムには、入力した備蓄品の賞味期限が近づくと、自動的に担当者へメールで知らせる仕組みもある。すさみ町の担当者は「賞味期限が近づいていることに気づくのが遅れ、活用せずに廃棄してしまうような心配がなくなる」と話す。

◆「ベル・データ」のシステムのイメージ

南紀白浜空港はどんな役割を担うか

南紀白浜空港は県の広域防災拠点に指定されており、運営会社「南紀白浜エアポート」は、周辺地域の防災力を高める取り組みに力を入れてきた。その一環でベル社のシステムに着目。ベル社と3町を仲介し、実証実験の実施にこぎ着けた。

南紀白浜エアポートの岡田信一郎社長は「最新技術を駆使して地域の防災力をより高めたい」と意気込む。

ベル社のシステムを使った同様の実証実験は、ほかに北海道や沖縄県など全国3地域10市町村でも進んでいる。経済産業省は「社会課題を解決するために中小企業と自治体などが連携し、地域経済の活性化につなげることを促す事業」と評価し、補助金を出して支援している。

(読売新聞 2021年12月23日 和歌山支局橋本通信部・大田魁人)

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