時間外などの災害初動対応!熊本・益城町や新潟県が始めた新機軸

説明:初動を指揮する職員の行動をまとめたカードの一部

熊本・益城町→2度震度7に見舞われて生まれた行動計画

夜間や休日に災害が起きたら、役職や経歴に関係なく、最初に登庁した職員が〈初動リーダー〉となって後から来る職員を指揮し、1時間後には災害対策本部会議を開く――。そんな行動計画を作り、訓練を重ねている自治体がある。

こちらの記事も読まれています→震度7を2回!熊本・益城町長西村博則氏が語る地震への備え

2016年の熊本地震のときの実情

2016年の熊本地震で被災した熊本県益城(ましき)町。益城町では 2016年4月14日夜の前震と16日未明の本震で、ともに最大震度7を観測した。夜間に起きた地震に、職員はバラバラに対応して初動が混乱した。幹部も場当たり的に現場へ散ったため、対策本部の統一的な対応方針を決めるべき第1回の会議には西村博則町長ら4人しか集まらず、ほとんど何も決められなかった。

写真説明:熊本地震の前震で夜の屋外に避難した人たち(2016年4月14日午後11時40分、熊本県益城町で)

「組織の対応力を底上げしないと、同じことを繰り返す」。危機感を抱いた西村町長は、改革の旗振り役を外部の人材に委ねた。

だれがどのように改革を進めたか

白羽の矢が立ったのは今石佳太さん(=写真)。兵庫県芦屋市職員として阪神大震災以来、防災や危機管理の道を一筋に歩いてきたプロだ。他地域で災害が起きれば足を運んで地元の対応を支援し、熊本地震でも益城町に助言を与えていた。2017年に定年退職した後、芦屋市に再任用されていた今石さんを、益城町は2018年、初代の危機管理監に招いた。

初代の危機管理監はどう動いたか

着任した今石さんは「目標に向けて組織が一丸となって動く仕組みや意識が欠けている」と感じた。

行政機関では、部局ごとの縦割りで業務を粛々と進めるのが常識だ。だが、通常とは異なる業務が大量に発生する災害時には、平時体制のままでは仕事の押し付け合いや特定部局への集中といった弊害が生じ、指揮命令系統も曖昧になりがちだ。組織を横断した全庁的な体制を作り、優先度の高い業務に人員を振り分けるといった工夫をしなければ乗り切れない。

今石さんが初動リーダーの仕組みを作ったのは、部局ごとで走り出す前に、組織一丸となった体制を築くという狙いがある。庁舎の安全確認、非常電源の起動、対策本部室の設営などリーダーが指揮すべき業務は、イラストと短い文章でわかりやすく示した「アクションカード」に整理した。

この記事をシェア

記事一覧をみる

防災ニッポン+ 公式SNS
OFFICIAL SNS

PAGE
TOP