写真説明:積雪期の浅間山。山麓で積雪期の噴火に備えた防災対策が行われている
長野、群馬の山麓で積雪期の噴火に備え緊急減災対策工事実施
長野、群馬両県にまたがる浅間山(2568m)。山麓では積雪期に噴火した場合に大災害を引き起こすおそれがある「融雪型火山泥流」などを想定した国の緊急減災対策工事が進んでいる。
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積雪期の噴火でおきる融雪型火山泥流とは
融雪型火山泥流は、山頂付近に一定の積雪がある状態で高温の火砕流を伴う噴火が発生すると、雪がとけて土砂と一緒に流れ下り、大きな被害をもたらす。小中規模な噴火でも起きる可能性があり、浅間山では1901年以降に起きた7回の火砕流のうち、4回で発生している。
積雪50㎝、火砕流27万㎥で起きた場合の被害
泥流は噴火時の気象条件などにより両県山麓の16渓流のいずれかを流れ下るとみられ、積雪50cm、火砕流27万㎥の想定では、氾濫予想エリア内にある建物は全体で9000戸に及ぶ。長野県内では国道や鉄道、高速道などの被害も予想されている。
説明:浅間山の位置
国は2012年からの15年間で約250億円をかけて、長野に14基、群馬に17基の計31基の堰堤(えんてい)の設置を計画。長野で3基、群馬で6基の工事が進んでいる。
そのうち1基、軽井沢では
このうち、長野県軽井沢町追分の別荘地を抜けて国有林内を進むと、赤松林が野球場ほどの広さに切り開かれた工事現場が現れる。火口から約6km、標高約1070mの地点に整備が進む濁川(にごりがわ)第二砂防堰堤(長さ約450m、高さ約15m)だ。
写真説明:整備が進む濁川の第二砂防堰堤(軽井沢町で)
濁川は泥流が予想されている渓流の1つ。泥流は30~60分で御代田(みよた)町の中心部に押し寄せ、火口から約15km離れた北陸新幹線佐久平駅付近まで到達すると予想されている。
「小さな川だが泥流は非常に大きな影響が出る」と国土交通省利根川水系砂防事務所(群馬県渋川市)の楜沢義一・工事品質管理官は指摘する。
濁川では3年前に工事が始まり、第二堰堤と、火山の活動状況に応じて一部をコンクリートブロックで緊急対応する第一堰堤を合わせ、計30万㎥の土砂を食い止める設計で、数年かけて整備される予定だ。
(読売新聞 2021年12月17日掲載)
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