Agoopの人流データ災害時活用!AIで異常検知も可能

スマートフォンのGPS(位置情報)で把握できる「流動人口データ」(以降、人流データ)を、ほぼリアルタイムで災害対応に活用する取り組みが進んでいます。人流データで状況を把握し、迅速かつ的確な判断につなげるのです。

その最先端にいる情報サービス企業「Agoop(アグープ)」の柴山和久社長と加藤有祐取締役に取材しました。

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スマートフォンを「人流センサー」に

――人流データを防災に活用するようになったきっかけを教えてください。

(柴山氏)アグープは、ソフトバンクのベンチャー企業として2009年に設立されました。位置情報を使ったビッグデータの解析を主軸としており、防災分野では、防災科学技術研究所などの学術機関と共同で技術開発を進めています。アグープ設立以前から、京都大学防災研究所と携帯電話の基地局が持つ位置情報を災害時に応用することについて、いろいろ試みていました。

当初は携帯電話のネットワークに課題がありましたが、ほとんどの人がGPSを搭載したスマートフォンを持ち歩くようになり、人の動きを詳細に分析できるようになったのです。

――どのように定量的に解析するのかを教えてください。

(柴山氏)スマートフォンは、搭載されているGPS情報から位置や動きがピンポイントでわかります。膨大なデータをビッグデータとして解析し、社会に役立つ情報の提供を目指しています。データは全国をカバーしています。もちろん、個人情報に対する安全性は確保しています。趣旨を明文化して承諾を得てから情報を集め、氏名や住所などの個人情報は収集していません。また、位置情報から個人が特定できないように秘匿化処理をした上で解析したデータを提供しています。

必要な情報を地図に落とし込んで可視化

――位置情報の活用についてざっくりと教えてください。

(柴山氏)スマートフォンの位置情報は緯度、経度、高度だけでなく、加速度や方向、時間もわかります。そしてその動く速さから、移動手段も把握できます。
こういった情報を地図上に落とし込んで俯瞰(ふかん)します。そこに気象情報も盛り込めますし、時間の情報も組み合わせ、時系列で比較することもできます。

「ポイント型」と「メッシュ型」

データは、「ポイント型」「メッシュ型」の2パターンあります。

(画像提供:Agoop)

「ポイント型」では、人の流れをリアルタイムで把握し、どこに人が集まっているのか、またどんな移動手段を使っているかをみることができます。災害発生時にリアルタイムで人の流れを把握したい場合、こちらが向いています。

これに対し、最小で50mから最大で1km四方までの滞在人口を日本総人口規模に推計して表すのが「メッシュ型」です。時間、日、月、年など特定の期間内でどのくらい人が増減したかを比較できます。新型コロナウイルス感染症対策で、前年同週の流動人口(一時的にある場所に滞在している人口)の比較などにはこちらを用いています。

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