茨城・境町に災害支援用「モバイル建築」完成!被災地に分割運搬可能

トイレ・シャワーを備え被災自治体の要請で移設

茨城県境町蛇池の町ホッケー場にクラブハウスが完成した(=写真)。分割してトレーラーに積載できる木造の「モバイル建築」の工法が用いられ、災害時に要請があれば、全国の被災地に運搬して活用できる。

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建物の概要

ハウスは、モバイル建築の開発を進める住宅メーカー「一条工務店」(東京)が建設し、企業版ふるさと納税の「物納」制度を利用して町に寄付した。

木造2階で延べ床面積は約400㎡。試合中のチームと次の試合を待つチーム、計4チームが同時に利用できるよう、各階とも中は大きく2つに分かれ、それぞれにロッカールーム、シャワールーム、トイレを備える。2021年6月に着工した。総工費は約1億3800万円。

分割から移設、組み立て

普段はクラブハウスとして使用し、被災自治体から要請があれば、1、2階を計14に分割してトレーラーで運ぶ。現地で再び組み立て、被災者にトイレやシャワーを提供する。断熱、防音、耐震性能などは一般住宅並みかそれ以上で、福祉避難所にも適しているという。

クラブハウスに導入された経緯

町がクラブハウスの建設を検討していた際に、町の戦略会議委員で日本モバイル建築協会代表理事の長坂俊成・立教大教授(防災危機管理)がモバイル建築を提案した。

長坂教授によると、これまでの災害で住宅メーカーが被災地にモバイル建築の住宅をレンタルした例はあるが、自治体が被災地への提供を前提に所有するのは境町が初めてだという。長坂教授は「モバイル住宅は災害に対する社会的備蓄であり、全国で増やしていく必要がある」と話している。

(読売新聞 2022年2月8日掲載)

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