活火山の火口周辺画像DB化!最新鋭SAR搭載航空機で年10ずつ撮影

写真説明:噴煙を上げる阿蘇山中岳の第1火口(2021年10月20日)

情報通信研究機構が2022年度から実施し監視体制強化

情報通信研究機構(NICT)は2022年度から、最新鋭の「合成開口レーダー(SAR)」を搭載した航空機で活火山の火口付近を上空から観測し、データベース(DB)の構築を始める。年間約10の活火山を対象に観測を進め、監視体制の強化や、実際の噴火時の変化の確認などにつなげる。

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最新鋭の合成開口レーダー(SAR)とは

SARは、レーダーを照射し、はね返りを捉えて凹凸などを把握できる機器。照射による複数のデータを合成して1枚の詳細な画像にできる。雲や煙に影響されないため、土地開発状況などの観測時だけでなく、噴火や地震といった災害時にも利用される。
活火山は噴火の前、山体が膨らんだり、傾きが変わったりする。NICTは2021年、最新鋭のSARを搭載した航空機を導入した。これまで使用してきた航空機のSARに比べ精度が2倍となり、「平時」の活火山の微細な地殻変動が詳しくわかるようになったという。

◆SAR搭載の飛行機で火山火口を観測するイメージ

現在の火山の観測状況

国内には活火山が111あり、このうち阿蘇山や桜島など50については気象庁が常時、監視カメラや地震計で地上から観測している。上空からもSAR搭載の人工衛星「だいち2号」が活火山を撮影しているが、火口の微細な変化は捉えにくいという。

写真説明:噴火した阿蘇山(2021年10月20日、熊本県南阿蘇村で)

NICTのデータベース構築計画

NICTは、約10年かけて国内全ての活火山のデータベースを構築する方針。データを気象庁などに提供して火山の監視に役立ててもらい、防災・減災活動にもつなげる考えだ。

◆データベース構築の狙い

NICTの児島正一郎・研究マネージャーは「噴火した際に火口の変化がわかるため、噴火活動の予測に役立つ。まずは最近特に活発な火山を中心にデータを収集していきたい」と話している。

(読売新聞 2022年1月25日掲載)

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