南海トラフ地震の紀伊半島復旧は奈良のアンカールート整備がカギ

奈良が紀伊半島沿岸部への拠点となる

南海トラフ巨大地震では、奈良県内で被害が生じる恐れがあるだけでなく、紀伊半島の沿岸被災地の後方支援に向き合う必要性もある。

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M8~9で30年以内の発生確率は70~80%

マグニチュード8~9級の巨大地震は、30年以内に70~80%の確率で発生すると予測。奈良県内の被害は最大で、死者約1300人、全壊建物は約3万8000棟に上るという。死者の9割は建物倒壊によるもので、残り1割は土砂災害や火災を原因としている。

また、道路で約930か所、鉄道では約590か所に被害が生じるとされ、帰宅困難者は12万~15万人に上ると推定する。

紀伊半島アンカールート

こうした事態に備え、国や県は、紀伊半島を縦断する国道168号と169号、京奈和自動車道、沿岸部の近畿自動車道紀勢線(未供用区間含む)などを合わせ、その形が船のいかりに似ていることから、「紀伊半島アンカールート」と呼び、大量の人員や物資を運べる幹線道路として、整備を進めている。

◆国や奈良県が整備を進める「紀伊半島アンカールート」(青色の矢印)

(国土交通省の資料から作成)

ただ、国道の2路線は紀伊水害でも被害を受け、2020年度までの過去10年間で、土砂災害や降雨による交通規制は168号が年平均61日で、169号では同93日あった。巨大地震の発生時に使う幹線道路としては心もとない。

防災対策の整備状況

アンカールートでは、道路拡幅のほか、橋の耐震化、のり面の防災対策が始まっている。同ルートでのり面の対策が必要な地点の整備着手率は、2019年に43%だったが、2025年には58%まで引き上げる目標を掲げている。

写真説明:整備が完了した奈良県十津川村折立の国道168号=奈良県提供

県の担当者は「迅速な救援や復旧復興に向けた輸送路確保のためにも、早期の整備に努めたい」と語る。

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