第2回防災キャラバン 防災ISO取得の意義と現状について

2021年2月5日開催の第2回では、「防災ISO取得の意義と現状について」をテーマに、東北大学 災害科学国際研究所 災害リスク研究部門 津波工学研究分野 教授 今村文彦氏、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター 国際災害栄養研室長 笠岡(坪山)宜代氏、多摩大学 ルール形成戦略研究所 客員教授 市川芳明氏、株式会社ワンテーブル 代表取締役 島田昌幸氏をお迎えし、防災ISOついてお話を伺いました。

<今回のポイント>

1. 防災ISOの発足と意義

2015年に仙台で行われた国連防災世界会議において、「仙台防災枠組2015-2030」が採択されました。世界規模での防災に関する活動を推進させるために、基準を規定し、防災・減災のものさしを提案すること目的として発足されました。

 

●6つの分野で推進
東日本大震災で被害を受けた仙台での復興プランをもとに、防災ISOでは以下の6つの分野が推進されました。
・エネルギー
・防災情報
・リスク・ファイナンス
・グリーンインフラ
・防災学習
・コミュニティー

 

まず、エネルギーがひとつに集中してしまうと、災害が起きたときにブラックアウトなどを引き起こしてしまいかねません。そのため、エネルギーを分散させることを重視しています。

 

また、最近の技術発達を受けて、ドローンや衛星画像、AIなどを用いた監視技術の活用が進められていますが、活用すべき技術のひとつに地震計も挙げられます。日本はもともと地震の多い国なので、地震の発生を知らせる技術として、全国各地に地震計が設置されていますが、海外はあまり地震が起きないため、ほとんど輸出されていません。しかし日本の地震計は非常に性能が高いため、今後海外で使用されることも目指して開発が続けられています。

 

さらに、生態系を利用した取り組みも行われてきました。その代表的なものが、防災林です。沿岸部には堤防を設置しますが、それを越えてしまった場合に防災林を設置することで、津波の波力を減衰し、流速やエネルギーを低下させます。災害時には津波の破壊力を弱め、被害を軽減・防止することが期待できるのです。これらに加えて、道路などもかさ上げすることで避難できる時間を確保することができると考えられています。

 

そして、自然災害の多い日本では、すでに備蓄文化が形成されており、災害食も常に備えられています。過去に日本で起きた災害での教訓を生かして、災害時にどのように行動することが大切なのかを、防災ISOは世界に発信することを目的としているのです。

 

● 特に防災時の食が重要
災害時は、健康面でのさまざまな問題が懸念されています。ストレスや疲労、食欲減退、睡眠障害、感染症、風邪、エコノミークラス症候群などといった影響が出てしまうためです。特にこれらが長引いてしまうと、災害関連死を引き起こす可能性があります。

 

この災害関連死を防ぐために、最も大切なのは「食」です。実際に、東日本大震災発生時の調査でも最も欲しかったものとして「食」という意見が多く見られました。災害時、避難所では穀類は十分ではあるものの、野菜や肉類、乳製品などの食料が不足しがちになるためです。

 

しかし、東日本大震災から10年経過した今では災害食も進化しており、以前は乾パンだけであったものがパンやカップ麺、そしておにぎりやアルファ米、ここ2~3年の災害ではお弁当が支給されるようになったといいます。まだまだ、不十分ではあるものの、世界と比較すると日本の災害時の食はリードしているといえるでしょう。

2. 3つの防災規格

これまでの日本の企業は競争優位を目指すのが一般的だったといいます。しかし、これからの企業の成長戦略では、企業同士で競争をしないでもうける力が大切です。お互いにお互いを助け合うためには、企業間での連携が欠かせません。そのため、国際基準というルールをつくって、価値や連携方法を決めていき、市場自体を大きくさせることが大切なのです。

●互換性企画
共通仕様を定義させることにより、周辺ビジネスの市場を拡大させられるようになります。例えば、PCでいうとUSBがあるから周辺機器とつなげられる、Wi-Fiがあるからネットワークにつながるといったことで、周辺機器はもちろんのこと、PCも売れるといった効果が期待できます。

●ものさし企画
劣悪な市場競争を防止するために、品質や機能、性能といった水準を決めることが大切です。このものさし基準をつくることで、市場全体が良いものへと変わっていくといいます。

●社会課題からのニーズ定義企画
防災という社会課題を解決するための、新しい市場を想像しなければならないといいます。例えば、防災を実現するためには、どういった機能やインフラを持っていなければいけないのかを定義していくことが大切です。

3. 防災と食の枠組みづくり

日本は世界に先駆けて、災害時の食の認証が行われています。現在では、乾パンやクラッカーだけではなく、水を入れるだけで食べられる食品、ガスが使えないときでも発熱剤がついていて温かい状態で食べられる食品などの開発が進められています。日本災害食学会がこのような食品を認証することによって、防災食の新しい基準あるいは目安となるでしょう。

 

また、災害食と宇宙食には共通した特徴があります。コンパクトで丈夫なパッケージ、そのまま食べられる、常温保存ができるなどです。そのため、災害食は宇宙食の認証を活用してつくられています。

 

このような災害食の認証・活用・提供・サポートまでの一連の枠組みを世界に発信することによって、日本企業が世界に羽ばたくきっかけになるでしょう。

 

まとめ

日本が防災ISOの規格づくりに積極的に携わることで、防災産業が新たな産業へと発展することができます。そのためには、東日本大震災を含む災害の経験を生かした取り組みを世界に伝えていくことが重要です。

<動画で見たい方はこちら>

【主催】 経済産業省 東北経済産業局、 読売新聞社
【共催】 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 (JAXA)・ J-SPARC
【協力】ベル・データ 株式会社
【委託事業者(事務局)】株式会社ワンテーブル
【テーマ、出演者】
・第2回「防災ISO取得の意義と現状について」
・東北大学 災害科学国際研究所 災害リスク研究部門 津波工学研究分野 教授 今村文彦氏
・国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター 国際災害栄養研究室長 笠岡(坪山)宜代氏
・多摩大学 ルール形成戦略研究所客員教授 市川芳明氏
<コーディネーター>株式会社ワンテーブル 代表取締役 島田昌幸氏

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