第4回防災キャラバン 防災アップデート2021について

2021年2月19日開催の第4回では、自治体と企業がともに取り組むべき課題を共有することを目的とした「防災アップデート2021」をテーマに、株式会社ワンテーブル 代表取締役 島田昌幸氏、ベル・データ株式会社 DX推進部 Bosai DX ユニット 課長 星正樹氏、北海道厚真町 総務課情報防災グループ 主幹 起田淳氏、・北海道余市町長 齊藤啓輔氏、北海道余市町 総務部地域協働推進課 主幹 岡欣司氏、宮城県亘理町 総務課安全推進班 主事 遠藤匡範氏、福島県国見町 参事兼企画情報課長 阿部正一氏、岡山県西粟倉村 総務企画課主事 福井啓太氏に出演いただき、企業の取り組みや「スーパー防災都市」である5つの市区町村が行っている活動、さらにこの5都市を中心とした広域防災ネットワークについてお話を伺いました。

<今回のポイント>

1. 企業の取り組み:ベル・データ株式会社

ベル・データ株式会社は、「スーパー防災都市創造プロジェクト」を手掛けています。防災を始めるにあたっての根底の思いには「災害時に、置き去りにされる人が絶対にいてはならない」というものがあり、ビジョンとして以下の3つを掲げています。

 

●備蓄食に関する20%問題
乾パンやアルファ米などの備蓄食を食べられない、食べづらい人がいることが問題になっています。高齢者や小さな子ども、アレルギーや宗教上の制約がある人など、20%の人が置き去りにされてしまいます。

 

●ローリングストックの推進支援
被災時の備蓄は、必要なものを備蓄食として用意し、賞味期限が切れたら廃棄しているというのが現状です。こういった管理を徹底するためには、日常で使われているものを有効活用したり、非常用のものを日常のイベントなどで活用・売却したりといったサイクルが必要です。

 

●尊厳(いのち)の尊重
備蓄食は通常、3日分を目安に確保され、その栄養価が重要視されるでしょう。しかし、この3日間の被災の中では、被災者の不安を軽減することや尊厳を確保することも大切です。そのため、「生命維持の命」だけではなく、「人間としての尊厳」という、もう一つの命を守る仕組みの必要性が問われています。

これらの課題を解決するために、ベル・データは「B×Link」という備蓄マネジメントシステムを開発しました。備蓄品の管理者が備蓄状況を直感的に把握できるようになっています。

このシステムでは、賞味期限切れの備蓄品や、まもなく期限切れになるものがリストアップされます。また、備蓄品の種類や人口動態についても考慮されており、想定される被災者数に対し、備蓄が足りているのかをグラフで確認することも可能です。

そのほか、高齢者や小さな子どもなどの災害弱者に対する「備蓄シミュレーション」機能も搭載されています。災害弱者がどのくらいの割合でいるかを確認できることによって、あらかじめ食べやすい非常食や赤ちゃん用のミルクなどを用意しておくことが可能となるのです。

2. スーパー防災都市の取り組み

「スーパー防災都市創造プロジェクト」には、5つの地方自治体が参加しています。実際に震災を経験した自治体では経験を生かした改善を、災害が少ない自治体ではさまざまな可能性を想定した備えを行っています。

●北海道厚真町
厚真町では、2020年度に北海道胆振東部地震の災害対応検証が行われました。2021年度はこの検証から得た教訓を生かした地域防災計画の見直しと、災害時の町職員のマニュアル改正が進行しています。また、胆振東部地震の際には自主防災組織が1つしかなかったのですが、現在は全ての自治会に設置し、避難計画の作成にも取り組みを進めています。

 

●北海道余市町
余市町は、スーパー防災都市創造プロジェクトを通じて、より多くの課題を解決するために取り組んでいます。また、スーパー防災都市である他の町村との連携や共有を深めていきたいと考えているそうです。
現在は、備蓄マネジメントシステムの活用方法をベル・データと共同しながら模索しているといいます。

 

●宮城県亘理町
宮城県の沿岸部に位置する亘理町は、東日本大震災の際に町の半分が津波で浸水しました。この経験から町職員の防災能力を強化する必要があると考え、2021年度には職員に対して抜き打ちの防災能力テストを2回実施しています。
そんな中、2021年2月13日に震度6の地震が発生しましたが、訓練を重ねていたことによって職員は慌てることなく災害対応にあたることができたそうです。
その他、大型の備蓄倉庫施設も完成し、町全体としての防災力も向上しているといいます。

 

●福島県国見町
国見町は東日本大震災で多大な被害を受けました。役場庁舎の再建やインフラの整備などに取り組む中で、2019年8月にキッズ防災教室を開催しました。ワンテーブルやJAXAと連携し、備蓄食や宇宙食の試食や毛布を使ったタンカ救助の訓練などを行いました。

2018年には「BOSAI SPACE PROJECT」が発足しました。このプロジェクトでは、国見町の地域農産物であるフルーツを使用した備蓄食の開発を行っています。2020年にはリンゴを使用したゼリーの開発に成功し、プロ野球球団とのコラボ商品を発売しました。現在は備蓄食として桃のゼリーを開発しています。

 

●岡山県西粟倉村
西粟倉村は人口が1400人と少ない分、役場任せになっている住民も多い、という現状が見られています。役場側としても計画にのっとった対応ではなく、感情ベースの対応をしてしまう傾向があり、今後はシステマチックな対応が必要となると見ています。
また役場の人員も少ない西粟倉村では、自力で逃げられる人には自分で判断してもらう必要があります。そのサポートのため、村のブロックごとに雨量計と監視カメラを設置したそうです。これらの情報は日頃から誰でも見られるようになっています。

3. 今後取り組むべき広域防災

防災は他の産業と比べるとアップデートされにくく、専門的な知見が集約されにくいものだといいます。備蓄管理なども何十年も前のやり方を続けていることも少なくないと余市町の齊藤町長は話します。だからこそ、広域防災が必要と言われているのです。

広域防災を広めるためには、スーパー防災都市を中心とした連携や共有が不可欠です。まだ被災を経験したことがない市町村に対しても、知見や経験をスムーズに共有していくことが重要となります。

東日本大震災から10年になりますが、この10年でやってきたことは間違いではありません。今後も民間との連携をさらに深め、各自治体でも対応する人員の育成を推進していかなければならないのです。

 

まとめ
ベル・データの備蓄マネジメントシステムについて、そしてスーパー防災都市の5都市の取り組みについて伺いました。現在取り組んでいる取り組みを進行しながら、各都市の取り組みの良い点などを参考にすることで、さらなる防災強化を図ることができるでしょう。

<動画で見たい方はこちら>

【主催】 経済産業省 東北経済産業局、 読売新聞社
【共催】 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 (JAXA)・ J-SPARC
【協力】ベル・データ 株式会社
【委託事業者(事務局)】株式会社ワンテーブル
【テーマ、出演者】
・第 4 回「防災アップデート 2021 について 」
・ベル・データ株式会社 DX推進部 Bosai DX ユニット 課長 星 正樹氏
・北海道厚真町 総務課情報防災グループ 主幹 起田淳氏
・北海道余市町長 齊藤啓輔氏
・北海道余市町 総務部地域協働推進課 主幹 岡 欣司氏
・宮城県亘理町 総務課安全推進班 主事 遠藤匡範氏
・福島県国見町 参事兼企画情報課長 阿部正一氏
・岡山県西粟倉村 総務企画課主事 福井啓太氏
<コーディネーター>株式会社ワンテーブル 代表取締役 島田 昌幸氏

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