地震の被災地支援 被災者の心境を想像して活動

ボランティア 感染予防に留意して交流

「被災者がどう感じるのか、常に想像しながら活動してほしい」。被災地支援をしてきた公益社団法人「シャンティ国際ボランティア会」(東京)の渡辺珠人さんは、災害ボランティアにこう助言する。例えば、被災家屋の清掃作業をする際、割れた皿などが散乱した家の中に靴のまま入る時も、「土足で入らせてもらいます」と、ひと言断ることが大切だという。

 

災害ボランティアは、役立ちたいという思いで被災地に入る。だが、被災者にとっては初対面のため、配慮が足りないと、不用意な言動で傷付けてしまうほか、不安を覚えさせる恐れもある。

写真説明:2016年の熊本地震で、熊本市災害ボランティアセンターの受付に並ぶ人たち

このため、ボランティアであることが分かる名札を付けることが不可欠だ。最近は、災害ボランティアセンターで、名前を記入して服に貼るシールをくれるケースが増えた。ビブス(ベスト)などを用意するボランティア団体もある。

写真説明:2019年の台風19号の被災地でもボランティアがビブスを着た(宮城県丸森町で、みやぎ生協提供)

現地入りする前から食料などを確保しておく「自己完結」が原則だが、現地で飲食店などが営業を再開すれば、利用も検討したい。消費を通じた被災地支援になる。

 

自身の健康にも留意が必要だ。けがをしたり体調を崩したりすると、かえって被災地に迷惑をかけることになる。

 

内閣府が、2011年の東日本大震災で各地に開設された災害ボランティアセンターなどに行った調査では、活動中や活動前後に切り傷や刺し傷を負った例が445件あったほか、クギの踏み抜きも249件あった。国立国際医療研究センター病院(東京)が20年7月に行ったネット調査では、災害ボランティアの経験者の約4割が下痢や発熱などを経験していたという。

 

新型コロナウイルスの感染予防も徹底したい。3密を避けてマスクを着用し、手指の消毒や手洗いを励行。検温も毎日行う。活動現場まで車での送迎がある場合も、窓を開けて換気し、会話を控える。

 

特に食事時は注意が求められる。ボランティア同士で食べながら話をしたくなるが、NPO法人「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク」(東京)の事務局長、明城徹也さんは「別の場所に移り、マスクを着けて会話すべきだ」と強調する。

 

ただ、感染防止に心を奪われるあまり、ボランティア同士や被災者とのコミュニケーションがおろそかにならないようにしたい。東京ボランティア・市民活動センター副所長の長谷部俊介さんによると、慣れない作業にもかかわらず、少しでも多く進めたいと休憩も取らず、一人で黙々とこなして体調不良になる場合もあるという。

 

長谷部さんは「ボランティア同士でコミュニケーションを密にすれば、体調不良の人がいても早めに気付くことができる。被災者と雑談をするうちに、近所の人にも話せなかった悩みを話してくれる可能性もある」と指摘する。

 

◆現地での活動3か条

▽被災者への配慮忘れない

▽体調管理を徹底

▽コミュニケーションを取る

 

(読売新聞 2020年10月15日掲載 「「防災ニッポン 地震・被災地支援」②)

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